「頭の中で生成され続ける音」をテーマに作品発表するうえだなおふみの新作EPは、音大入学を通してさらに強まった脳内に鳴り続ける音への執着心を形にしたい、という思いから制作された。サティの「家具の音楽」=生活の中に溶け込む音楽という思想を踏襲しながらも、彼自身にしか聞こえない、でもはっきりとリフレインするそれの輪郭を確かめるかのような、切実な揺らぎと音像を聞いてみてほしい。意味のないもの、得体の知れなさに対する恐怖感は、言わばある種の執着のように人の感情を揺さぶることがあるが、うえだは声なき声、普段視界から零れ落ちている様々な要素でその有機的感覚を再構築しようと試みている。
KAOMOZI
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