カラスとタンポポ

Mikkabie

ミッカビーの音楽は、何となくポップでありながらポップスでなく、勿論ロックでもフォークでもない。ジャンルの空き地に咲く野花のような、居場所のないカフカ的な音楽だ。通人向けには「Jandekよりもポジティブであり、Shaggsよりもハーモニーだ」と言えるが、「〇〇よりも〇〇」という形容が良いことなのか悪いことなのかはリスナー次第だ。ただアルバム写真のカラス(カフカ)と野花(タンポポ)に求めても得られない互いの欠損が暗示されているのを感じさせられるのみだ。先に挙げたミュージシャンは勿論、ピンクフロイドから脱落したシド・バレットの内省的な作品を愛聴する方にもぜひ聞いて欲しいアルバムだ。文 河田容英

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