──排気筒から焼けるような煙が上がる。 残骸の上で繰り広げられる全てが、あまつさえ、何一つ為すことの出来ていない自分が堪らなく腹立たしかった。妄執は点滅する蛍光灯のように心の隅に目障りに居座った。──それは最早、病だった。 それならば、拡散させてやろうじゃないか。 皆んな仲良く、患者になろうじゃないか。 不平等な幸せよりかは、平等な不幸せの方がいくらかマシだろうよ。 複数のストーリーが絡み合いながら、連作プロジェクト『アスターゲイザー』は徐々に核心に迫っていく。 第3章『シロクロ・シック』では、東都スラムで世界に抗いながら生きる少年少女たちが、戦争を起こすまでの一部始終を描く。
Crab 蟹 Club
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