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インタビューCrystal Boyさん
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  • 2016/10/28

1999年に結成された“nobodyknows+”ではローボイスを担当していた”Crystal Boy”。

ソロアーティストとしても活躍している彼は、現在も名古屋のHIPHOPシーンを牽引し続けている。

名古屋で活躍するHIPHOPアーティストの兄貴分として信頼も厚い”Crystal Boy”に「BIG UP!」が地域にもたらす可能性を伺った。

 

 

 --「BIG UP!」を見ていただいた感想はいかがでしょうか?

Crystal Boy)「すごい!(笑)」日本人らしい作りでサービスも手厚いですよね。未来を見据えて「レコード会社をぶっ壊す」くらいの話になりかねないですよねこれは。

極端に言ってしまえば「BIG UP!」は「素人でも誰でも音楽を出せる」ということですよね。さっきBPM(Crystal Boy氏が経営するセレクトショップ)の店長と「BIG UP!」を見ていて、「僕も出せるじゃないですか!?」って店長がはしゃいでました(笑)

 

 --マネタイズプラットフォームである「BIG UP!」ですが、「マネタイズ」という面をどう思われますか?

Crystal Boy)若いラッパーの子がせっせとお金を貯めて、1,000枚CD作りました。「でも、ほとんど余ってて家の段ボール見たくもないです」みたいな話を本当によく聞きます。そういう無駄や虚しさが無くなるというか、「BIG UP!」が普及してったら、一億総評論家ならぬ一億総アーティストになるのかなって思います。

 

 --「CDを聞く」ということも、今ではだいぶ減ってしまったように感じますね。

Crystal Boy)実は最近パソコンが壊れてしまったんですね。ここ何年か作業もずっとパソコンにイヤホン挿して音楽も作っていましてね。で、しょうがないからコンポを何年振りかに使おうとしたら、コンポも壊れてて(笑) 「あれ? 家にCDを聞くすべがない」みたいな。

でも、今の若い子って、パソコンを持ってなきゃ、コンポもなくって、もう携帯以外要らないんですよね。「CDという物が邪魔なんだな、今の子は」って思いました。先日、CDを泣く泣くウン千枚売りにいったら、5,000円でした…。「俺の20年くらいの青春が5,000円なんだ!?」と思って。そのくらい、「物」が今の時代には要らなくなっているんですよね。

 

 

 --HIPHOPシーンではテレビ朝日「フリースタイルダンジョン」がYouTubeなどで配信されて人気になっていますね。

Crystal Boy「フリースタイルダンジョン」はこっちでは放送されていないのですが、YouTubeで観てます。特殊技能と言うか韻を踏みながら言葉を紡いでいくこの文化が認められたというか、なかなか高度で高尚な戦いなんだという事が広まっただけでも嬉しい限りです。

 

 --YouTubeがあるからこそ全国へ広がってゆく事が可能なのと同じように、「BIG UP!」もどんな場所からでも楽曲を配信できます。そのような地方からの発信に期待感はありますか?

Crystal Boy「地方にいても音楽シーンで輝けるかもしれない!!!」っていう事が実現できますよね。

売れない頃、うちのリーダーDJ MITSUがよく言ってくれて奮い立たされた言葉が「青森にいようが、沖縄にいようが、本当にいい音楽を作ったら絶対日本中に届くはずだから、この街を離れず頑張ろう」って言葉でした。

十何年前は「契約=東京行く」のが当たり前だったから「東京に来い」と再三言われました

「お前らみたいなのが、何様なんだよ!?」ってよく言われました笑。

でも結果出してからは何も言われなくなりました。

やっぱり、その土地にいたから選ぶ言葉がHIPHOPらしさだと思うから、縁もゆかりもない東京に住まわせなれてたら、きっとすげー暗い歌ばっかり作ってたかもしれない。

だからこそ離れなくて良かったと思えます。

 

 --名古屋を拠点としている後輩達に、「BIG UP!」をどう使ってほしいでしょうか?

Crystal Boy音源はあるけど出す当てがないって子はいっぱいいるので紹介したいです。

例えばですけど、フリースタイルの大会で「BIG UP!」を目指したりする方法ないかな?って勝手に頭ん中で思っていました。

再来月くらいから始めるのですが、後輩の経営しているクラブが2ヶ月に1回くらいラップのバトルで優勝決めるというイベントを企画しています。

例えば、月間の1位はシングル出させてあげて、年間の頂上になったやつはアルバム出させてあげるみたいな賞品がやれたら面白いなって。そしたら目標があって、目の前の数万の賞金とかより頑張るかな?って(笑)

 

 --アイディアありがとうございます。検討してみます。一方でヒップホップで「夢を見る」、「食べてゆく」ということについて、どうお考えですか?

Crystal Boy今の子にスゴく純粋に「どうやったら食えますか?」って聞かれるけど、「そんなに甘くないよ」って言ってしまいます。そしたら、絶望的な顔をするんですけど。でも、そういう現実も教えなきゃいけない時代ですよね、、、

僕らの時代はまだ夢が見られましたけど、今の子たちっていうのは僕らの100倍うまいやつもいっぱいいるのに、「夢が持てないこと」がすごくかわいそうだなって。もっと夢が見れないといけないなって。

“KREVA”さんって、慶応でしたよね。あの人だって十何年前だから「音楽で食ってこう」と思ったけど、今大学生だったら絶対選択しなかったなと思うくらい、今の音楽業界って希望が無いと思う。

 

 --確かに希望を持つのは難しいかもしれませんね…。ゆくゆくは「BIG UP!」が才能あるアーティストをプッシュしてゆくことで、アーティストが輝く場になればと。

Crystal Boy「曲を聞いてください」って、最近の二十代くらいの子に曲をもらって聞くと、ラップもトラックもカッコいいんすよ、でも音がクッソ悪いんです…。そういうこともわからない。言ってみれば、「マスタリングをしてもらうことの意味」も分からなかったりするじゃないですか。

トラックはめちゃくちゃカッコいいんだけど、フリーダウンロードで取ってきたとか。簡単に手に入りすぎているから「一様に雰囲気だけはいい…」そんな子が多すぎる。

そういう子が多いから、(今後実装される)マスタリングをすることの大事さとかを「BIG UP!」で実感してもらえたらいいなって。

 

 

 --今の駆け出しのアーティストには多い話かもしれませんね。

Crystal Boy)あと、すげーカッコいい奴らなのに、全員同じ歌い方のクルーとかいたりする。

グループとして成立させるには、いろんな粒を集めなきゃ駄目じゃないですか。高音、低音、ダミ声とか。みんな同じ歌い方なのに、みんなで「いいじゃん、いいじゃん」って盛り上がっちゃうから、同じスキルで似通っちゃうんでしょうね。そりゃ周りからは「面白くないグループだな」って思われるでしょうね。ライヴじゃなくて、音源で聴いたら変わったかどうかも分からないみたいなのって残念ですよね。

 

 --そういうアーティストはどういう場で成長してゆくべきだとお考えですか?

Crystal Boyどんどん表に出てって打ちのめされて覚えていくしかないと思っています。愛知もまだ栄で歌える人間は「選ばれた人間」と言う感覚が多少あると思うんですが、都会から離れた所で人知れず歌ってる人間とかは、そういうことに直面しませんよね。

自分たちで納得して、まあまあお客さんも入っちゃうから「俺たち超イケてんじゃん!?」みたいな感じになっちゃう。

僕もそうだったんで、、、

岐阜で育って、16歳くらいでラップ始めて。「ラップやってる奴なんてまだ誰もいねーぜ絶対」「ちょっとクラブいってかましてやろうぜ!!」って、いざクラブへ行ったら「クソ! スゲーうめーヤツがいる」って、ズタズタに打ち破られて帰ってきました。スゲーうめーヤツが、もういっぱいいるみたいな。それでまた磨かれるものもありますよね。

 

 --誰でも参加できる「BIG UP!」が切磋琢磨できる場所で、アーティストにとってその先に目指せるプラットフォームになれるのは一つの理想かもしれませんね。

Crystal Boyそうですね。「BIG UP!」で話題になった地方のラッパーが東京に呼ばれるとか、メジャーのオファーが舞い込んでくる!!何て事になれば「BIG UP!」が1つの指針になっていって音楽業界にとっても意味があるようになっていくんではないでしょうか。

 

 



プロフィール:Crystal Boy (nobodyonows+)
nobodyknows+としてNHK紅白歌合戦出場、これまでにベスト盤を含む5枚のフルアルバムを発表。ソロ活動としても2010年『クリスタルボーイ』、2012年『VERY SPECIAL』と現在2枚のミニアルバムを発売。又、名古屋にてSelect Shop『BPM』のオーナーとしての顔も持ち、そのファッションセンス、詩的センス、ライミング、ストーリーテラー性でマニア心をくすぶっている。2015年にはソロ作品『路地裏~野良猫とお前~』と『君と話せたなら~黒猫と君~』を配信リリース。