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インタビュー岸本優二さん
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  • 2016/11/08

心斎橋Music Club JANUSは、数ある大阪のライヴハウスの中でもアーティストとファンに愛されるライヴハウスだ。

そんな心斎橋 JANUSで多くのアーティストの成長を見守ってきたのが、その店長である岸本優二氏。

音楽業界で輝くことを目指すアーティストに「BIG UP!」は、どんな変化をもたらすことが出来るのだろうか。

 

 

 --まずは、「BIG UP!」の率直な感想をお聞かせください。

岸本)この話を聞いた時に、今はすぐにアーティストがスターになれる時代なんだなって思いました。昔は色んな人やフィルターを通さないと音楽なんて発信できるもんやなかったはず。今は、それこそインターネット環境さえあれば「歌ってみた」や「弾いてみた」、「ボーカロイド」などでスターになれるような時代になった。そして、個人の権利も絶対主張していかないけない時代なんだろうなってことに、「BIG UP!」はどハマりしているサービスなのかな?と率直に思いましたけどね。

 

 

 --「ライヴをしたい」とJANUSに来るアーティストは、昔とだいぶ変わりましたか?

岸本)そりゃね、僕もうライヴハウスに20年いるんですけど、昔は汚ったない音でも持って来るんですよ(笑) ライヴハウスに。スタジオ一発録りで何言ってるか分からへんデモテープやMDを持ってきて、「すいません。ちょっとライヴやりたいんです」とね。こっちは「じゃあ、ちょっと聞いてみるわ」と。何言ってるのかわからへんけど、「じゃあ、まぁ一回ライヴやってみるか?」ってので始まっていましたよライヴハウスとバンドの関係性ってのは。

だから「あーでもない」「こうでもない」ってことをどんどんスタートしていってね。例えば、そこから僕らの時代だと「オムニバス作りたいんだけど、お前ら参加せえへんか?」って誘って、「いいんですか!? CDって作れるんですか!? 僕らでも!?」的な時代ですよ。

そこから今は180度変わって、ライヴする前に音源を持ってきますよ。音圧を「キューッ」と詰めてミックスしまくって、もうPro Toolsいじりまくっている音源をね。僕らの感想としては「めちゃめちゃ、ええやんけ!」と。で、「じゃあ、ライヴ見ようか!」となるんですけど、上手くないんですよ(笑)

 

 

 --ライヴをするために渡した音源で肩透かしに合うと…。

岸本)今の時代とあの時代の違いが、そのくらい違うんですよね。だから、今のバンドは「先にレコーディングしようぜ」っていう。なんならメジャーのやり方をするんですよね。

人目に見せる前に先にレコーディングする時代って、やっぱり「これは変わって来たな」と思いますよね。

 

 

 --ファンのライヴの楽しみ方も変わりましたか?

岸本)大阪城の音楽堂で「KANSAI LOVERS」っていうイベントをやってたんですけど、待っているお客さんはほとんどYouTubeを見ています。出演するバンドのね。予習のためのYouTubeですよ。そうなると、演者はYouTubeにMVが上がってる曲しか出来ないですよね…。

とあるフェスではアーティストが「怖くて、セットリストを変えられへん。やっても新曲一曲や」と話とって…。スゴい時代になりました。

 

 

 --音源を楽しむためのCDも、もはやグッズになってしまった。そんな印象がありますね。

岸本)知り合いのレコード会社の方も言っていましたね。もう、「グッズの1つですよ」って。だから俺、言ったんですよ。CDじゃなく「Tシャツ作った記念にツアー回ったらええやん」て。『ニューTシャツ作りましたツアー』をね(笑)

 

 

 --「本ツアーにおける限定色」、「東京の限定色」、「〜の限定色」。そんなツアーになってゆくかもしれませんね。

岸本)今日(JANUSで)ライヴをするアーティストのグッズは、すごくカッコいいし、デザインも斬新でね。「そら買いたくなるわ」っていう。

それに比べてCDはあれだけ色んなこと考えて、曲作って、リハして、うまく出来るようにアレンジ考えて、リズム取って、歌録って、ミックスして、マスタリングして、ジャケット書く。そんな色んな作業をして「3千円」でしょ。Tシャツなんてデザインちょっとして、業者に御願いすれば「3,000円」ですよ。この違いね。

だから、音楽のお金の拠り所がCDだけではなくて、「権利を主張出来る」っていうモノが必要なんだと。みんな分かんないですよね。「JASRACに登録しなあかん」とか、「やっぱり会社じゃないと」とか、そういうとこがやっぱり一番気になっているグレーゾーンで。この「BIG UP!」はそこがクリアになってきてるのかなっていう実感がありますね。

 

 

 --既にそうなっていると考えられますが、メジャーとインディーズっていう分け方自体がなくなっています。心斎橋JANUSでライヴをする若いアーティストにも「やっぱメジャーになりたい」という目標を持ってらっしゃいますか?

岸本)「やっぱりメジャー!」っていうのはありますよ、今でも。やっぱり一回は行ってみたいのか、親孝行なのか、そういうのがあるんじゃないかなと思います。でも、ちょっと前だと2年契約、シングル、シングル、アルバム、シングル、シングル、アルバム。売れなかったらベストで。っていう時代から変わりましたよね。

今はショットがメインになっていて、ショット一発でもメジャー契約といえる時代。

1枚だけでジャッジできるわけではないのに、「まぁ1枚ね」と。もう、アニメのタイアップが一発決まったからって爆発的に売れるわけではない時代なので、やっぱりまずはメジャーデビューするってのは、もう「落ちることが怖い」そんな風に思ってしまうんじゃないかなぁ。

 

 

 --では、「BIG UP!」を利用することでメジャー、インディーズ関係なく、地元大阪に住むアーティストが音楽活動を地道に行ってゆくことも出来ると思われますか。

岸本)俺は全然あると思うんですよホンマに。例えば沖縄の人たちって沖縄におるじゃないですか。さすがに沖縄ってやっぱり、東京では得られへん空気があるじゃないですか。そういう感じですよね。

 

 

 --ライヴハウスの価値、楽しみ方をどう思われますか?

岸本)思いきりお客さんに寄った感覚で言うと、やっぱフェスは楽しいですよね。少々チケット代が高くっても、あんなに一杯アーティストが見れて、外で楽しくて、自由で、友達とハッピーになれる。そんなフェスは、やっぱりライヴハウスで「きゅーっ」とやるのとは真逆やと思うんですよ。

でも、逆のやっぱりライヴハウスやからこそ、あの音響、あの照明、あの空気、あの距離感を楽しめるっていうのをライヴハウスはちゃんと提供していかないといけないと思いますね。

この前に僕が大阪城音楽堂でやってたイベントは、全員ライヴハウス出身で今もライヴハウス出てる人ばっかりを出しました。1日2,800名ぐらいのお客さんで。つまり、ライヴハウス出身アーティストだけでも、2,000名は呼べるわけですよ。一方で1個のバンドじゃ2,000人は呼べないですよ。

 

でも、僕らの最終的な想いは「ライヴハウスのチケット買ってほしい」ってこと。フェスとかイベントの2,000枚チケットを買ってもらえたなら、そのバンドが次にライヴハウス出るときに、お客さんちょっとでも増えてることが僕は一番目標としてるとこで。

 

 

 --最後に、これから「BIG UP!」を使って音楽業界でやっていこうと考える方達に向けてメッセージがあれば。

岸本)たぶん、「BIG UP!」を始める時って、最初はちょっと怖いと思うんですよね。どこに責任があるのか?っていうね。インターネットだと見えにくいから。でも、怖いと思うけど、試しで一回やってみてって方がいいかな。

一気に全部やっていくのではなくて、「まず、これだけやってみよう」ってことから「こんなんなってるやん」、で「じゃあ、こっちもやってみよ」、っていう方が長く使えるんじゃないかなと。