アーティストのためのスマートリンクの効果的な使い方 -Lit.linkやLinktreeなどのサービスを解説-

コラム

アーティストのSNSなどを見る際に、自己紹介欄に色々なプラットフォームへのリンクを置いている方をよく見かけるかと思います。

”スマートリンク”と呼ばれるあらゆるSNSやDSP(音楽ストリーミングサービス)などを分かりやすく一覧にしてくれるサービスを利用している方が多いですが、スマートリンク上のデザインなどアーティスト毎に個性が出ていてぜひ自分も取り入れたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、アーティスト活動においてどのようにスマートリンクを活用していくべきなのか、解説していきたいと思います。

スマートリンクとは何か?

スマートリンクとは、あらゆるSNSやDSPのリンクを、まとめて一覧表示してくれる優れたサービスです。

よくTwitterなどの自己紹介欄にスマートリンクを置いて、「新曲聴いてね」といった文言とともに告知しているアーティストをよく見かけますね。

↓このようなリンクの総括ページのこと。見かけたことがある方が殆どではないでしょうか。

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アーティスト活動をしていくうえで、多くのSNSやDSPで楽曲などを展開していくと思いますがプラットフォームごとのリンクを管理するのは大変…。
そんなニーズに応えてくれるサービスであり、また、アーティスト/リスナー双方がスマートリンク上で多くの情報を得ることができるため、ファンベースを構築&拡大していく上で非常に役立つサービスと言えます。

具体的にどのようにスマートリンクを活用していくべきか、ひとつずつ説明していきます。

人気のスマートリンク作成サイト

まずは、スマートリンクを作るにはどのサイトが良いの?というところから。
スマートリンクを作成できるサイトは数多くあり、どれを使用すれば良いのか分からない方も多いかと思います。

コストや操作性などの観点から、オススメのサイトをいくつかご紹介いたします。

Linkfire

まずは、多くのアーティストが使用しているLinkfire。

Linkfireの良い点は、その優れたアナリティクス機能です。
どれくらいの人がどのプラットフォームに訪問したか、訪問した後にどんなアクションを起こしてくれたか、逆に、Linkfire上に訪問してくれたのに各プラットフォームへは飛ばず離脱してしまった人はどれくらいいたか…。

これらは、アーティストが自身の音楽をマーケティングしていくうえで非常に大切なシグナルとなります。

それら大切なシグナルを事細かにトラッキングできる機能がLinkfireにはあり、音楽活動を展開していく上でかなり多くの情報をLinkfireから得ることができます。(Linkfireで使用できる機能について、後述いたします)

ただし、Linkfireは海外のサイトのため、一部ページを除きほとんどが英語での対応となっているため英語が苦手な方は少し苦戦するかも知れません。
また、デザイン自体はシンプルなのでもっと凝ったデザインを展開したい方は他のサイトも検討してみると良いかと思います。

また、費用は無料/有料どちらもプランがあります(無料プランには広告がつきます。)

B.O.M

B.O.M(ボム)は、CotoLab.(DIGLE MAGAZINEなどを運営)が運営しているスマートリンクサービスです。
国内企業発なので、日本語対応ですし英語に自信がない方にもオススメです。

操作性が非常に良く、どのようにスマートリンクを作成していくか分かりやすいのでスマートリンクを初めてつくる方でも簡単に作成することができます。

また、デザインが他のスマートリンクサービスと比較すると凝っていて、洗練されたデザインになっているためパリッとしたデザインが好きな方にもオススメできます。

アナリティクス機能もありますので、ひとまずスマートリンクを作ってみたい! といった方はB.O.Mは入口として最適かと思います。

また、費用は無料/有料どちらもプランがあります。

Lit.link

Lit.linkは特にDIYアーティストの方にオススメのサービスです。

Linkfireなどとは仕様やデザインがだいぶ異なり、Lit.link上でMVや各種DSPのアルバム/プレイリストなどを画面上に挿入することでプレビュー視聴できることが特徴です。

↓このようにLit.link上でプレビューできる

YouTube上のMVのURLを埋め込めばMVをLit.link上でプレビュー視聴できますし、Spotifyの楽曲等のURLを埋め込めばSpotify上の音楽もプレビュー試聴できます。

スマートリンク上から外部プラットフォームへ飛ぶことに心理的障壁を感じるユーザーもおりますので、このプレビュー機能は非常に便利と言えます。
(※なお、このプレビュー機能は外部プラットフォームでの再生にはカウントされないため、外部に飛んでもらうことを目的としている方には注意が必要です。)

また、費用は完全無料となっておりますのでとりあえずスマートリンクを試してみたい方にもオススメです。

④SHARE LINK!(シェアリンク)

SHARE LINK!は音楽配信代行サービスBIG UP!を使用しているアーティストであれば誰もが無料で使用できるスマートリンクサービスです。
BIG UP!で音楽配信を行っているアーティストであれば使わない手はありません。

無料ながら、他スマートリンクサービスと同等のサービスを利用することができます。

またデザイン面においては外部プラットフォームのボタン配置が一覧となっていて見やすく、SHARE LINK!上でスクロールする必要がないのでユーザー側からも目的の外部プラットフォームが見つけやすい仕様になっています。

▼SHARE LINK!についての機能紹介はこちら

「SHARE LINK!」編集機能についてのご案内

SHARE LINK!上で商品紹介文の編集が可能になりました!

配信日前にSHARE LINK!の提供が可能になりました!

SHARE LINK!上でカスタムリンク(自由入力)の追加が可能になりました!

スマートリンクの具体的な活用方法

アーティストのHP代わりとして使う

冒頭でも触れましたように、スマートリンクは色々なプラットフォームのURLをひとまとめにしてくれるサービスです。
音楽のDSPに限らず、TwitterやInstagram、リリース情報やディスコグラフィーなどあらゆるリンクを埋め込む事ができます(埋め込めるリンクは各スマートリンクサービスによって異なります)ので、アーティストの情報を全て一覧で表示して簡易HPのように使用するのがオススメです。

(スマートリンクは複数作成可能ですので、まずはアーティストのHPになるようなまとめ用のスマートリンクをひとつつくっておくと良いかと思います。)

↓各種DSP(音楽ストリーミングサービス)に遷移すると、アーティストのまとめプレイリストが展開されている。
まとめプレイリストがすぐに聴けるので潜在層にもアプローチしやすい

↓珍しいこんなスマートリンクも。DSPよりもSNSなどに注力している形のスマートリンク

入れるべき情報

スマートリンク上に入れるべき情報はどれなのか?どれくらい・どのように情報を盛り込めば良いのか?こちらについても悩む方は多いかと思います。
アーティスト毎に入れておいた方が良い情報などは異なるため、一概にこれを入れるべし!という項目はお伝えしづらいのですが、最低限押さえておきたい項目としては

・各種SNS(Twitter、Instagram、TikTok)
・YouTube、各種DSP(2~3個)

は入れておくようにしましょう。加えて、

・音楽ダウンロードサービス
・CD/DVDなどのオンラインストア
・HP
・LINE公式
・メールマガジン

なども持っていて、かつ注力したい方は入れて良いかと思います。

極論、どんな情報でも入れて良いとは思いますが、あまりに多くの情報を入れ込んでしまうとスマートリンクのメリットである”数多くのリンクをまとめて見やすく一覧表示してくれる”という点が損なわれてしまう
(多くの情報を入れ込むとスマートリンク上で何度もスクロールをしないといけなくなり、一目では情報の大部分を把握できない)
ため、ある程度の情報の取捨選択は必要です。

なお、上記にてDSPは2~3個で良いと記載しましたが、SNSではなく音楽・DSPのみアプローチしたい、などの方向性のアーティストであればスマートリンク上はDSPのみ・楽曲を展開しているDSP全てを入れるのも良いかと思います。
※ただしこの場合も上記の通りスマートリンクのメリットが損なわれますので、上部に重要度の高いDSPを並べるなどの工夫が必要です。
詳細を次項で解説いたします。

DSPやSNSのスマートリンク上の順番

スマートリンク上に入れる情報について前項で説明いたしましたが、どのような順番で配置するかも大事になってきます。

この順番においても、最適解はアーティスト毎に異なってくるのですが、日本人アーティストにおいては「Apple Music」「Spotify」「YouTube」を上部に配置しておくのが基本的には良いと言えます。

日本国内におけるDSPのシェアはApple Musicが一番となっていますので、国内のリスナーに訴求したい場合はApple Musicを一番上に配置するのが良いでしょう。

また、国内でも若い世代の多くがLINE MUSICを使用しているため特にZ世代と呼ばれる世代に訴求したい場合はこちらも上部に配置するとより良いかと思います。

国外になりますと、Spotifyシェアが圧倒的に多いため海外に訴求したいアーティストの場合はSpotifyを一番上に配置するのが良いでしょう。

また、国内の全世代においてYouTubeの使用率は90%を超えていますので、YouTubeも上部に入れておけばあらゆる世代に訴求できますし音楽だけではなくMVなど映像作品も見てもらう事ができます。

その他、リスナーが特定の国に多くいる場合、その国に適したDSP(韓国ではmelon、台湾ではKKBOXなど特定の国に特化したDSPが数多く存在します)も入れておきましょう。

作成した後はどうすべきか

①リンクをSNSなどに置いておく

無事スマートリンクを作成できたら、InstagramやTwitterの自己紹介欄、YouTube上のMVなどの概要欄にリンクを置いておきましょう。
「楽曲はこちら」「詳しくは/詳細」など、なんのリンクかわかる文言も添えるとより良いです。

各プラットフォームの玄関口となる場所にリンクを置いておくことで、スマートリンク内に配置した外部プラットフォームへの訪問を促すことができますので
DSPやYouTubeの再生回数アップも期待でき、ファンベース構築の一助となるでしょう。

なお、リンクを置いておく際に注意することとして自己紹介欄などのなるべく上部、分かりやすいところに配置することも重要です。
(TwitterやInstagramの自己紹介欄にはウェブサイトという項目があるのでそちらにリンクを置くのも良いかと思います。
なお、YouTubeの場合概要欄は3行以降は折りたたまれてしまうので3行以内にリンクを配置することが必要です)

↓自己紹介欄にスマートリンクを配置、ウェブサイト欄にはHPを配置している。

②広告の遷移先にする

広告などを実施しているアーティストであれば、作成したスマートリンクを広告の遷移先とするのも良いでしょう。

一般的にSNS広告では特定のプラットフォーム(​​YouTubeやApple Musicなど)に遷移させることが多い印象ですが、これらプラットフォームにはターゲティングの精度を担保するために必要な計測タグが埋め込めないため、広告の効果(楽曲視聴やフォロワー獲得)を最大化できません。
特定のプラットフォームに直飛ばしするほうが曲を聴いてもらいやすいと考えている方も多い印象ですが、計測タグを通じて取得できるデータによって得られるターゲティング上のメリットを軽視しすぎている印象です。
計測タグが埋め込めるスマートリンクを広告の遷移先にして、機械学習のパワーをフル活用するほうが間違いなく成果に繋がります。
※広告の設定にあたり、もしお困りの際は弊社までご相談ください。

③メンテナンス

スマートリンクは一度つくったら終わりというわけではなく、都度メンテナンスすることを推奨いたします。

・スマートリンク上のトップ画像の変更(アーティスト写真の変更などに伴って)

・外部プラットフォームの最終遷移先の変更(旧譜→新譜へ、など)

・外部プラットフォームの並び順の変更(最近再生数が急激に伸びているプラットフォームがあればそれを最上部に配置する、など)

などが推奨事項となります。

なお、メンテナンスをするのも中々に大変なので予めスマートリンクをいくつもつくっておくのも良いでしょう。

①HP代わりとなる網羅的なスマートリンク
②新譜専用のスマートリンク
③広告専用のスマートリンク

など、用途別で分けておくとメンテナンスが格段に楽になるかと思います。
ただし、分ければ分けるほど管理も大変になりますので、それぞれのメリット・デメリットを鑑みてアーティスト毎に合った方法を選択するのが良いでしょう。

(事務所などに所属しているアーティストはスマートリンクを分けている方が殆どだと思いますが、DIYアーティストなどは一つのスマートリンクで管理している方が多い印象です)

④アナリティクス分析

スマートリンクを作成→配置まで進みましたら、定期的にアナリティクスを確認しましょう。
アナリティクスとは、スマートリンク内で発生するあらゆるユーザーのアクションを分析できるツールです。(各種スマートリンクサービスによって呼び方は異なる)

スマートリンクに訪問してくれた人の数や、国別の訪問者数、どのボタンが一番クリックされているかなどを解析することができます。

どこまで詳しくアナリティクスを見れるのかというのはそれぞれのスマートリンクサービスによって異なってきますが、大まかには上記3つの項目は見れますので確認しておくと良いでしょう。

アーティスト自身も予想していなかったような国からのアクセスがあるかも知れませんし、最上部に置いていない外部プラットフォームへの遷移が一番多いかも知れません。
そのような場合、プラットフォームの内容や順番を変更することでよりリスナーに対し適切な形でスマートリンクを展開できますので、前項でお伝えしたメンテナンスを行う際は併せてアナリティクスも確認すると良いでしょう。

また、Linkfireのみの機能にはなってしまうのですが、Linkfireを使用している方はテリトリーマネジメント機能・外部プラットフォームからのアクセス解析機能もぜひ活用していただきたいです。

テリトリーマネジメント機能は、国毎にLinkfire上のテキストや外部プラットフォームの中身を調整できる機能です。
例えば国内向けにはApple Musicを一番上に配置し、台湾向けにはKK BOXを一番上に配置したりなどが一つのリンク上で可能になります。

この細かな調整ができることで、グローバルにリスナーがいるアーティストなどは外部プラットフォームに遷移してくれるリスナーを取りこぼさずLinkfireを展開できるというメリットがあります。

(引用元:https://help.linkfire.com/hc/en-us/articles/360002382913-Creating-Territory-Specific-Landing-Pages)

また外部プラットフォームからのアクセス解析機能というのは、Linkfireの場合リンクの末尾をプラットフォーム毎にいくつか分けることができるので、
例えば

・Twitterに貼るリンク(例:lnk.to/Pluto_TW)
・YouTubeに貼るリンク(例:lnk.to/Pluto_YT)
・Instagramに貼るリンク(例:lnk.to/Pluto_IG)

と、ひとつのリンクからいくつも派生させることで「リンクを貼り付けたプラットフォームごとにどれくらいアクセスがあったか」を解析する事ができます。つまり、自分たちが保有するSNSのなかで最も告知に向いている場所を把握可能になります。

一番アクセスのある流入元が一番告知などをするには良いでしょうし、逆にアクセスの少ない流入元を知ることでなぜアクセスが少ないのか? という課題を考えるヒントにもなります。


<太田受里プロフィール>

Gerbera Music Agency株式会社 音楽広告事業部所属。
18歳から音楽業界に従事し、コンサート業界の裏方から演者側など主に現場仕事を経験、2020年にGerbera Music Agencyに加わる。
2023年より音楽広告事業部マネージャーに就任。
音楽広告事業部にて様々な音楽広告を実施、日々音楽業界への貢献と広告の進化について考えています。
GMAが運用するSpotifyプレイリストメディア「
Pluto」にてプレイリストFeel the Japanese GROOVE」を更新中。

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