Apple Music for Artistsで自分の楽曲の視聴傾向を詳しく分析する方法
コラム
音楽のデジタル化が進む中、アーティストにとってオンライン上での活動はとても重要になってきています。特に、独立して活動するDIYアーティストにとって、自身の音楽を効率的にプロモーションして、ファンとつながり、分析をするためのツールは欠かせませんね。その中でも、Apple Music for Artistsは強力なツールと言えるでしょう。
このコラムでは、Apple Music for ArtistsがどのようにDIYアーティストの音楽活動をサポートしてくれるかを詳しく紹介します。
具体的には、
などが出来ます。
Title List
Apple Music for Artistsとはなにか?
Apple Music for Artistsとは、Apple Musicにて楽曲を配信しているアーティストならば誰もが使える、無料の分析ツールです。
Apple Music for Artistsを通して、インティペンデントアーティストでもアーティスト写真の変更を自分で行うことができます。
またApple Musicにおいて、自身の楽曲がそれぞれどのように聴かれたのか?あらゆるセグメント別に可視化することができます。
自身のファンベースの分析、またどの曲がより再生等されていたのかも分かるため
この楽曲はどういう傾向か?また、次回の楽曲はどういうものを作ろうか?など、多方面で参考になるでしょう。
Apple Music for Artistsの申請方法+権限付与方法
まずは以下にアクセスしていただき、諸々の申請を進めます。
※申請にはApple IDが必要です。
https://artists.apple.com/ja-jp/measure
申請方法の詳細はこちらのページもご覧ください。
https://artists.apple.com/ja-jp/support/1101-claim-your-account
大まかな流れは下記となります。
Apple IDにログイン→自分のアーティストページを検索→アカウント情報について入力→申請
このフローの中で要注意点としては、アカウント情報の入力の際に必要なメールアドレスはなるべく本人と分かるもの、が良いです。
例えばabcというアーティストの場合「abc@domain.com」などabcというアーティスト用に使っているアドレスと分かる仕様になっていると、申請がスムーズに進みます。
※関連性のないアドレスだとなりすましと疑われることがあります。
上記フローにて申請が完了しましたら、大体早くて2日〜最長10日ほどで承認がおります。
(平均的には3~4日程度かかるケースが多いようです)
承認がおりましたら、こちらより以降のログインが可能です。(ブックマーク推奨)
https://artists.apple.com/ja-jp
上記が整いましたら、他のメンバーに権限を付与してみましょう。
アーティストのアドレス以外にも、マネージャーやチームの方にアドレス単位で権限を付与することができます。
流れとしましては、TOPの右上「Account」→「Users」の右の+ボタン→招待したい方の名前などを入力。
権限については、
Admin→管理者/Analyst→閲覧者/Profile Editor→プロフィール欄の編集のみ なので、付与したい権限を選択の上、右下「Invite User」より招待を行います。
権限を持っている方は、TOPの右上「Account」より随時確認可能です。
まずやるべきこと
Apple Music for Artistsの申請が完了したら、まずはアーティスト写真を編集しましょう。
「Artist content」→「Artist Profile」を押していただくと、アーティストのプロフィール写真の変更を行うことができます。
Imageの右横「Edit」より、ガイドラインに沿った写真をアップロードします。Statusの欄にApprovedと表示されれば問題なく反映されています。
ガイドラインはこちら:https://artists.apple.com/support/1104-artist-image-guidelines
またArtist ContentからApple Musicへ直接歌詞を送信・追加することもできます。
提出前に必ずこちらのページ及び歌詞のガイドラインを確認し、フォーマットが正しいことを確認してください。
管理画面でよく使用する項目 ~アナリティクス~
Apple Music for Artistsの管理画面において、主な区分は以下の通りです。
上部にその他の機能が、アーティスト名の下に各アナリティクスがありますが、主に使うのはこのアナリティクス機能。
項目ごとに、解説していきます。
Overview
「Overview」では、その名の通りアーティストの主要な指標を総括して見ることができます。
(再生回数、リスナー数、iTunes購入数、Shazam回数など)
その他、「マイルストーン」には曲ごとに一定のマイルストーンを達成したものがあれば表示されます。
また、右上の「リスニング中」は過去48時間のリスナー数の変化を追うことができます。
約5分ほどの単位で、リアルタイム更新されていくためかなり詳細にリスナーの変化を追うことができます。
その右には「Shazamチャート」があり、Shazamチャートにランクインした曲があれば、何曲ランクインしているか表示されます。
(ラインクインしている曲がなければ表示されません)
その他、上位の都市やプレイリストに入っている楽曲なども確認することができます。
Overviewはその名の通りざっくりとした概要を把握できるページとなっているため、詳細な数値を把握するには不向きです。
おすすめの見方としては、定期的にOverviewを確認して「どの曲が伸びてきているな」「この曲がこの国で伸びてきているな」「この曲は再生回数の割に沢山Shazamされているな」など自身の楽曲に対してのトピックを拾い上げていくことです。
このトピックを拾い続けていれば、自身の楽曲への反応について一定の傾向や特徴が掴みやすくなります。
(例:全体的に東南アジアで反応が良さそう、日本ではこういうジャンルの曲が伸びやすい傾向があるかも、など)
アーティスト活動をスケールさせていくにあたり良い情報をキャッチアップし続けられるのではないかと思いますので、ぜひご自身の知識倉庫に色々な情報をストックいただければと思います。
Trends
「Trends」では、
・再生回数
・リスナー数
・曲の購入数
・アルバム購入数
・動画視聴数(Apple MusicにアップロードされたMVの視聴数)
を期間(Apple Music for Artistsの方であらかじめ指定された期間でしか閲覧できない)/プレイリスト/ロケーション/性別/年齢 別でソートをかけて把握することができます。
以下プルダウンから、ソートしたい項目を選択することができます。
BIG UP!のレポートなどでも再生の細かな数値は把握できますのでこのあたりは活用することが少ないかも知れません。
しかしここで便利なのが、プレイリスト経由の再生でソートできる点です。
楽曲のオーガニックの再生回数と、プレイリスト経由の再生回数をそれぞれ表示することができるため、それぞれの経由の影響度を把握することができます。
下にスクロールすると曲ごとにグラフを表示させることができます。
例えば「前作と今作、リリース初動時の再生回数はどんな違いがあるだろう?」と考えた時
以下のようなグラフを表示することで、視覚的に再生の程度が把握できます。
過去1年間といった期間も指定できますので、この1年の自分の活動を振り返る時にも有効でしょう。
Places
こちらは、Overview「上位の都市」の詳細版となります。
カラーチャートになっているので、濃い青であれば再生やリスナーなどが多い、ということになります。
(再生/リスナー/Shazamは左上のプルダウンより選択できます)
国ごとにカーソルを合わせると詳細な数値↓が出てきますので、海外でツアーなどを検討する際の地域選定に役立つでしょう。
(右上の+ーで地図の拡大/縮小が可能です)
下にスクロールすると、「上位の国または地域」「上位の都市」が表示されます。
こちらでは、その名の通り再生/リスナー/Shazamが国や地域ごとにランキング表示されます。
実践編〜実際にApple Music for Artistsを活用してみる〜
では実際にApple Music for Artistsをどのように活用すべきか?
仮に、「楽曲がはねている場合」を例として実際の見方を説明します。
まず楽曲がはねている場合=スパイクが起こっている場合などは、各種DSPないしディストリビューターからの通知などで、特定の楽曲の再生数が増えていることが分かると思います。(これを見逃さないことがとても大事なので、常にアンテナを張っておくと良いでしょう)
もしくは、定期的にOverviewの「マイルストーン」や「上位の都市」などを確認しておくのも良いでしょう。
スパイクが発見できたら、あとはスパイクが起こっている要因/国/曲をもう少し深掘りしてみましょう。
例えば台湾にてスパイクが発見できた場合、その周辺諸国でも数値が盛り上がってきているか?
台湾のスパイクはどれくらいの再生回数として返ってきているのか?いつを起点としてスパイクが起こっているか?などを確認します。
例えばこういった上記の図のような形でスパイクが起こり始めていた場合、4/20辺りを起点にスパイクが起こっていることが分かります。この4/20の前後で何が起こっていたか?大きなプレイリストに入ったり、フィジカルの露出があったり。またはショート動画のプラットフォームでプチバズが起き始めていたり…。その辺りを特定し、効果的な施策を打っていく事をお勧めします。
台湾でスパイクが起こっていたら、例えば台湾向けにローカライズした投稿をSNSでしてみたり、または広告を打つのもお勧めです。
もし広告代理店への依頼をご検討されている場合はぜひ弊社までお声がけくださいませ。
困った時には
Apple Music for Artists上で何か困ったこと(申請が通らない、権限付与ができない、など)
があれば、TOPの右上、アカウントのプルダウンよりサポートセンターにお問い合わせすることができます。
一応日本語でもサポートはしてくれるのですが、原則英語で返ってきますので全て英語でやりとりした方がスムーズにサポートを受けることができます。
DeepL翻訳やChatGPTなどを使用すれば簡単に英語のやりとりができるでしょう。
<太田受里プロフィール>
Gerbera Music Agency株式会社 音楽広告事業部所属。
18歳から音楽業界に従事し、コンサート業界の裏方から演者側など主に現場仕事を経験、2020年にGerbera Music Agencyに加わる。
2023年より音楽広告事業部マネージャーに就任。
音楽広告事業部にて様々な音楽広告を実施、日々音楽業界への貢献と広告の進化について考えています。
GMAが運用するSpotifyプレイリストメディア「Pluto」にてプレイリスト「Feel the Japanese GROOVE」を更新中。