ジャンルの枠には収まりたくない。cOups.が突き進むロックバンドのその先

インタビュー

『BIG UP!』を利用している注目アーティストをピックアップして紹介するインタビュー企画。第10回目はcOups.が登場。

2017年に東京で結成された男女4人組のバンド、cOups.。UKの系譜を感じさせるギターサウンドと緩急あるボーカルで正統派なロックを鳴らしながら、海外への展開も意識していることを感じさせるバンドが現れた。…と思いきや、今回のインタビューでその期待は大きく裏切られた。確かにメンバーそれぞれがロックにルーツを持ちながらも、現代的な感覚でそれに縛られることなく、エネルギッシュに変化することを恐れない彼らは日々進化を遂げていくのだろう。実際にライブの会場で、そんな彼らの真の姿を追いかけてみてほしい。

バンド結成の経緯

cOups.のメンバーはどのような経緯で集まったのでしょうか?
mayuco

mayuco:

私が元々やっていたバンドが解散したので、自分のバンドをやりたいと思ってベースのKosukeに声をかけたんです。前のバンドで対バンしたことがあって、彼をTwitterで見つけたのがきっかけでした。その後ボーカルを探していた時にKosukeがSeanを紹介してくれて、活動していく中でギターのJoeが入ってくれて今のメンバーになりました。

KosukeさんとSeanさんは元々お知り合いだったんですか?
Kosuke

Kosuke:

ボーカルを探している話を友達にしたらSeanを紹介してくれたんです。だから僕も面識はなくてスタジオに入る日に初対面だったので、その日は自己紹介から始まりました(笑)。

初対面の時の第一印象はどうでした?
mayuco

mayuco:

Seanはその時受験生だったので、「学生だな」って感じでした。

Sean

Sean:

mayucoさんは怖かったです(笑)。

mayuco

mayuco:

今ではいじったり文句しか言われないですけど(笑)。

ではバンドはmayucoさんが引っ張っている感じなんですね。
mayuco

mayuco:

でも、ほぼノリで「やろう」ってなったよね。

Kosuke

Kosuke:

「これやってみる?」とか、ラフな感じでそれぞれ意見を出し合いながら進んできたよね。

現在の体制になったのはいつ頃ですか?
Kosuke

Kosuke:

今年の1月です。JoeはSeanとルーツ的な部分のフィーリングが合ったので、ぜひ入って欲しいと思って誘いました。

それぞれのロックなルーツ

“JoeさんとSeanさんはルーツ的な部分のフィーリングが合った”というお話でしたが、お二人それぞれどんなルーツなのでしょうか?
Sean

Sean:

僕は邦楽洋楽の括りなくなんでも聴いてました。それこそ母親が車で流していたBruno MarsやDREAM COME TRUE、ONE OK ROCKも聴いていたし、スクリーモ系のバンドも好きでしたね。

ご両親は音楽好きだったんですか?
Sean

Sean:

両親はThe Beatlesの大ファンで、僕の名前もJohn Lennonの息子のSean Lennonからとったんですよ。小さい頃から家で「Beautiful Boy (Darling Boy)」っていうショーンに書いた曲が1日中ずっと流れていて、子供ながらに気持ち悪いなって思ってました(笑) 。

ご両親の愛を感じますね(笑) 。
Sean

Sean:

でも高2の頃にNothing But Thievesに出会って衝撃受けて、そこからUKロックの沼にハマっていきました。Led ZeppelinとかUKルーツまでどんどん掘り下げていきましたね。

Nothing But Thievesはどんなところが衝撃的だったんでしょうか?
Sean

Sean:

ボーカルがクラッシック寄りな発声をしていて「かっこいい、これだな」って思ったんです。僕はもともと小さい頃から歌うのが好きで、小4から合唱部に入っていて。合唱とバンドって繋がりはしないんですけど、通じるものを感じたんです。それからバンドで歌いたいと思って友達とバンドを始めました。

その時はどんなバンドだったんですか?
Sean

Sean:

その頃からオリジナルの曲でやっていたんですけど、今とは全然違うポップな曲を作ってました。

ではJoeさんはいかがですか?
Joe

Joe:

僕はブルーズ、ハードロック、サザンロックとか泥臭いロックが好きです。物心つく前から親父が車に置いてた大量の洋楽のCDを聴いて育ちました。初めて観たライブは親父と2人で行ったAerosmithでしたね。

お父さんからの影響が大きいんですね。
Joe

Joe:

そうですね。親父がAerosmith大好きで、僕の名前は「ギタリストのJoe Perryからとった」って言われたので聴いたらめり込んでいって。そこから好きなアーティストのルーツを辿っていったら、結局ファンクやポップも何でも聴くようになりました。

名前の由来にも共通点があったんですね。そこからギターを弾き始めるきっかけはなんだったんですか?
Joe

Joe:

中学の頃に親戚からギターをもらったんです。それで向かいの家が音楽好きな人が集まる飲食店兼ライブバーだったので、そこで教えてもらってセッションするところから始まりました。そこの人たちは楽器とか色々くれるんですよ。ギター3本くらいもらいました(笑)。

集まっているのは年上の人ばかりですよね?そういった人たちとセッションしていたということは、かなり鍛えられたのでは?
Joe

Joe:

そこまで数はこなしてはないんですけど、1回ごとの濃さが凄すぎて「もっと弾かなきゃ」って気持ちになりましたね。それと並行して高校では仲の良い友達とバンドも始めました。

なるほど、お二人はルーツロック的な部分で交わるところがあるんですね。では、Kosukeさんとmayucoさんはまた違ったルーツになるんですか?
Kosuke

Kosuke:

僕はライブハウスでオリジナルバンドをやるきっかけになったのがandymoriでした。そこからガレージロック的なバンドを聴くようになってザ・ビートモーターズとかその辺のアーティストを聴いてました。

ずっと邦楽ロックを中心に聴いていたんですか?
Kosuke

Kosuke:

そうですね。地元の千葉県柏はハードコアの界隈があったり、パンクが強かったんです。その派生で、音は汚い感じだけど日本人がハマる歌謡ぽいメロディーセンスや歌詞が綺麗なアーティストに憧れていったんだと思います。

mayucoさんはいかがですか?
mayuco

mayuco:

私は小6の時に思い出作りとしてバンドをやりたい人で集まったんですけど、その時は背も高いし力もある方だったっていう単純な理由でドラムを始めました。それから高校1年の時、本格的にドラムの先生に習いにいったところでKORNのRay Luzierのドラムを聴いて、真剣に頑張っていきたいって思うようになりました。

Ray Luzierのドラムのどんなところに惹かれたんですか?
mayuco

mayuco:

シンプルかつかっこいい部分ですかね。昔から好きな音楽にこだわりはなかったんですけど、KORNを聴いた時に直感的にそのバランスがバチっとハマったんだと思います。

小学生でドラムを始めた頃はどんな曲を演奏していたんですか?
mayuco

mayuco:

その時は木村カエラさんのコピバンなどをやっていました。洋楽を聴き始めてからは次第に重い音も好きになって、MuseやMetallica、Linkin Parkは<サマソニ>で観てからがっつり聴くようになりました。バンドを始める前からピアノやダンスもやっていたので、音楽は基本的にはなんでも大好きでしたね。

日本のバンドにハマったりはしなかったですか?
mayuco

mayuco:

あんまり聴いてなかったんですけど、唯一ちゃんと聴いていたのはONE OK ROCKですね。どちらかというと日本の音楽はアイドルやアニメ、ボカロが好きなんです。小・中学生くらいにボカロが流行り始めた世代だし、私自身アニメが好きなこともあるんですけど、ボカロやアニソンはドラムが凝った曲が多いのでよく聴いていた部分もあったかもしれないですね。

常に新しくありたい

みなさん“ロック”というルーツでしっかりと繋がっているんですね。楽曲もギターソロやハードなリフが印象的ですが、そこは意識されているところですか?
Sean

Sean:

いや、特にこだわっているわけじゃないんです。cOups.のジャンルっていうのは決めたくなくて。どういうバンドって聞かれてロックバンドってあまり言いたくないし、ギターロックとも言いたくないし。常に新しく、常に更新していきたいんです。最近はシンセサイザーの音を入れた曲も作ってるんですよ。新しいものを作るのがミュージシャンの責任でもあるし、あんまりジャンルを推していきたくはないと思っています。

なるほど。楽曲はどのように制作されているんですか?
mayuco

mayuco:

Seanが作ってきたものに、それぞれのパートを乗せていっています。みんなで話し合う時もありますけど、大体Seanが想像図をデモで持ってきてくれるので、そこからどうするかを話しながら進めてます。

Sean

Sean:

デモを持っていく時は頭の中では出来上がっていますね。

楽曲のベースはどこから生まれるのでしょうか?
Sean

Sean:

曲によりますけど、映画のセリフの言葉の響きや意味を見てかっこいいと思ったワードをメモして、電車とかでメロディーを考えてます。そうやって考えたものがサビになる事が多いですね。

これまでの楽曲ではメロディーはUKロック、サウンドはUSロックのニュアンスを感じましたが。
Sean

Sean:

レコーディングをしてくれた場所が僕の地元・栃木のライブハウスなんですけど、そこの店長兼レコーディングエンジニアの人がAmerican FootballやJimmy Eat World、Weezerが大好きなUSロックファンだったんです。だから特にUSロックを意識しているわけではなくて、エンジニアさんの音がでた部分ではありますね。

こでは、現在はそこからさらに進化していると。
Sean

Sean:

そうですね。次の音源も出来てますが、これまでの楽曲と全然違います。

Kosuke

Kosuke:

サウンドがもっと厚いよね。

mayuco

mayuco:

色が違いすぎいて、YouTubeだけ観てる人は「え?」ってなると思う。

Sean

Sean:

今回、音にはめちゃくちゃこだわりました。実験するような感覚でこれやっていいのかなってことをやったり、けっこう攻めましたね。

ルーツ的にも海外のバンドの影響は大きいと思いますが、よりそちらを意識したものになっていると言えるのでしょうか?
Sean

Sean:

そうですね。日本人だけではなくて、海外の人に聴いてもらった時にかっこいいと思われるような意識は持ってます。正直まだ自分の色が追いついていない部分もあるので、そこは今後の課題だとは思っていますが。

英詞も海外を見据えてのことですか?
Sean

Sean:

日本語はなくていいかなと思ってます。元から日本語へのこだわりはないんですけど、最近は日本の曲を聴いてなさすぎて日本語が追いつかなくて。

なるほど。では、生まれる楽曲は日々進化していくとなると、今後ライブでこれまでの楽曲と新しい楽曲を演奏する際のバランスは少し難しそうですね。
Sean

Sean:

昔の曲は早く捨てたいですね。やりたくないです、昔の曲。

新たなリリースは近く予定されているのでしょうか?
mayuco

mayuco:

6月14日にE.P.を出します。それに合わせて企画ライブをやるのでいっぱいお客さんに来て欲しいですね。かっこいいバンドさんを呼んでるので、楽しんで聴けると思います。

Kosuke

Kosuke:

ようやくグッズも出します。

出演バンドはどのように選ばれたのでしょう?
Sean

Sean:

音源を聴いてルーツが近かったり、シンプルにかっこいいと思ったバンドにお願いをしていて、全然面識ないバンドの方が多いですね。その日、初めて会うバンドもいるので楽しみです。

そこでまた良い出会いが生まれそうですね。これからのシーズンは夏フェスへの出演も期待されていると思いますが…。
mayuco

mayuco:

<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>はオーディション企画に入賞していて、リスナー投票が6月に行われるので、まずはそこを突破したいですね。

オーディションを勝ち抜いて出演を獲得することは近く目標とされていると思いますが、さらにその先、今後どんな目標をお持ちですか?
Sean

Sean:

来年末にはワンマンをやりたいです。あとはイギリスでライブがしたい。向こうでしごかれてきたいです。

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