『Beyond The Campus vol.7』‐The Kunstインタビュー‐
インタビュー
負の底から見上げた光
はじめに
『Beyond The Campus』とは、早稲田大学の公認サークルWaseda Music RecordsがBIG UP! zineとタッグを組み、学生アーティストにインタビューを行う企画です。本企画はリレー形式となっており、第6弾アーティストHealthcare and medicalさんのご紹介を受けまして、第7弾のゲストとしてThe Kunstさんにインタビューを行いました。
結成の経緯
バンド結成の経緯やオリジナル曲を作った経緯についてお聞かせください。
きすけ)最初に曲を作るようになったのはビートルズを聴いていた高校生の時です。高校生の時、自律神経から体調を崩して学校に行ってない時期があって、その時に自分の気持ちとかをぶつける感じで曲作りを始めました。
ようた)僕は高校からバンドをやっていました。高校の部活で年に一回曲を作ることはあったんですけど、ほとんどコピーでした。大学でオリジナルをメインにしているサークルがあるっていうのを知って入りました。この2人から凄く影響受けたんですけど、きすけが凄い曲を作るから、触発されて作っていくようになりました。元々歌詞とかも考えないで楽器がメインでしたが、自分で作るようになって自分で作った曲は歌うようにになりました。
-お三方の出会いはサークルだったんですか?
村岡)最初は授業でした。
ようた)僕ときすけは入学式でたまたま隣に座ってて、話したら好きな音楽が全く一緒すぎて。
きすけ)マジで運命的な出会いだったよね。みんな文学部の芸術学科なのでほとんどの授業が被ってて、ドラムの村岡はドイツ語の授業で一緒だったんです。だから、授業でもサークルでも会うし、今でもずっと一緒にいるって感じで、出会って一年半くらい毎日のように会ってます。
初めてライブした日のお話
-初めてライブをした日について教えてください。
村岡)初めてライブしたのは去年のサークルだけでやる内輪ノリみたいな感じのライブでした。その時は1曲だけオリジナルを作って、4曲ぐらいカバーをやりました。最初に作った曲は、割と遊びで作った感じでした。
-一番最初、このバンドで作った曲はどなたが作ったのですか?
ようた)元々僕が高校生の時に作った曲をきすけがアレンジしてくれました。元々凄くゆっくりした曲だったんですけど、パンクの速い曲になりました。割と最初から先輩たちに褒めてもらって、それが凄くモチベーションに繋がったんですよね。「お経」っていう曲で、本当にお経みたいにアコギで歌ってずっと同じ旋律が続くみたいな感じで。
きすけ)それをちょっとaメロとか加えたりして、ギターソロとか、ドラムのソロとか入れたりして。
村岡)なんだかんだ、一番最初に作ったけど一番いい感じにアレンジできた曲ですね。
きすけ)ようたが元々アコギで作っていた曲を僕がアレンジする形が多いスタイルです。
-初めてライブした時は、サークル内でのライブだったということなんですけど、緊張はしましたか。
ようた)僕、そもそもバンドで人前で演奏するのがその日初めてだったんですよね。今までは家で曲を作ってって感じだったので。割と緊張してたのかな(笑)?
きすけ)いや、みんなしてたんじゃない?だいぶ走ったもん(笑)。
-他のお二人は人前で演奏するのは初めてでしたか。
きすけ)僕ら(きすけ、村岡)は高校生の時やってたんですけど、ここまでオリジナルでやるっていうのはそんなになかったので緊張しましたね。
音楽との最初の出会い
-音楽との最初の出会いについて教えてください
ようた)僕は小さい頃から母親がSMAPファンで、家ではずっとSMAPが流れていたんです。だから自分で作るようになったという意味での出会いは、高校生の時にビートルズのレコードを聴いて、そこからです。ロックに出会ったのもそこからです。最初に聴いたアルバムは「アビーロード」でした。母親がエレファントカシマシが好きで、母親がエレカシのレコードを聴くためにレコードプレーヤーを買って、せっかくだからビートルズも一枚買おうみたいな感じで聴いたら、衝撃を受けました。
村岡)僕は母親が音楽好きで、生まれた頃からずっと音楽に触れ合っていたんですけど、自分で音楽が好きだってなったのは、小学校の頃です。ユニゾンスクエアガーデンの音楽を初めて聴いて、「なんだこのバンドカッケー!」ってなって、そこでどんどん音楽にのめり込むようになりました。それまでもドラムは続けてたんですけど、自分の意思でやろうってなったのはそこからですね。ユニゾンの曲とかも個人的にはめちゃめちゃ練習して、それで本当に鍛えられましたね。
きすけ)僕も親がどっちも音楽やってる人で、母親はピアノ、父親はギターを弾いて今もバンドもやってるみたいな感じで、姉も吹奏楽とかやってて、いわゆる音楽一家みたいな感じです。自分も幼稚園から小学校くらいまでピアノやってて、そのくらいの時聴いてた音楽は母親の影響っていうか、マジで一緒なんですけどSMAPめっちゃ聴いてて。
ようた)そこも謎の共通点があるんですよね(笑)。
きすけ)それでピアノやってたんですけど、小学校の時に挫折して音楽無理だなって思ったんですけど、ところどころで映画と音楽の出会いみたいなのがあって。ロックの目覚めって考えたら、アイアンマンの最初のオープニングでACDCの「Back in Black」が流れるんですけど、その曲にロックの衝撃を受けました。中学の時にボヘミアンラプソディ観た時も感動して、音楽ってやっぱいいなあと思いました。それで高校でまたバンドで音楽やるようになったって感じですね。
-映画の存在が大きかったのですね。ちなみにご家族も音楽をしているとのことですが、なにかご家族に関するエピソードはありますか?
きすけ)父親とは結構話すんですけど、ライブを見に来てくれたりします。ギターの音色とかも父親に寄ってきてる感じがあって、やっぱり父親の影響は大きいかもしれないです。
影響を受けた曲5選
‐影響を受けた曲について教えてください。
きすけ)僕はもうコテコテなんですけど、ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」です。自分の作っている曲もニルヴァーナに影響を受けてることが多いです。
ようた)僕はエレファントカシマシの「偶成」って曲です。かなり暗い曲なんですけど、この曲の歌詞が本当に好きで。一行目から自分に何が足りないのか自問自答して。「流るるドブの表をきらりとさせたる夕陽あり 僕はこのために生きていた」って言ってて、描写が綺麗すぎていつもこういう歌詞書きたいなと思いながらやっています。その絶望の中に最後ちょっと生きる希望が見えてる感じがしました。こういうマインドの曲を作りたいなと思っています。エレカシ好きになったのは母親の影響なんですけど、宮本浩次を人間としてもリスペクトしてます。
村岡)ユニゾンの「箱庭ロック・ショー」です。ドラムの部分でもかなり影響を受けました。技術的に技術的な面でもそうですし、ドラムっていうものの役割。いかに機能的であるか。ドラムって本来こうあるべきだよねみたいなことでかなり影響を受けました。
ようた)ミッシェルガンエレファントの「世界の終わり」です。大学のサークルの先輩なんです。3人ともミッシェルには影響を受けています。特に「世界の終わり」に関しては、オマージュ的なことをしています。バンド全体でも、サウンド面的にも影響を受けたんじゃないかなと思います。
きすけ)ビートルズの「In my life」です。SE(サウンドエフェクト)で使ってます。パンク過ぎないけど、落ち着いたとこをからいきなりドスンと落とすような。そんなところも影響を受けたりしています。
音楽を通して伝えたいメッセージ
-音楽を通して伝えたいメッセージはありますか?
ようた)絶望感を共有したいっていうのもあるんですけど、逆にちょっと笑ってほしい、こいつ可哀想だなーっていう目で見てほしいっていうところもちょっとある(笑)。誰かが絶望している自分を見て逆に元気出てくれたらいいなみたいな。音楽で救うぞって程は思ってないんですけど、なにかとっかかりがあればいいなと思います。
きすけ)マイナスな土台だからこそ明るさが見えるというのがこのバンドのいいところだと思います。歌詞とかだと、「生きてる」ってことを重視したいです。「殺してくれ」って歌詞があるんですけど、そう叫ぶくらい生きたいってところを伝えたいです。
‐今後もそのようなスタイルで曲作りをされていく予定ですか?
きすけ)パンクといいつつも曲ごとに雰囲気は変えていているので、パンクといいつつジャンルレスな音楽を作っていきたいと思います。
学生音楽シーンにおいて活動を広げる方法
‐学生音楽シーンにおいて活動を広げるために意識していることはありますか?
きすけ)自由にやっちゃってる。
ようた)みんなが古いロックに影響を受けたバンドが増えればいいなと思って。なかなかいないので。
村岡)実際にバンド自体も大きくなっていけばいいなみたいな。聞いてくれる人が増えてくれたら嬉しいなぁという風に思ってるんですけど、でもあんまり考えずにやった方がいいと思います。
きすけ)やっぱり自由に自分たちがやってるのが一番かなっていう。逆に大きくするためにやっちゃうと逆にちょっと違うのかなっていうのもあるかもしれない。でもそこで今、結構せめぎ合ってるところもあるんで。だからまあ、自由にだね。自分たちがやりたいことをしっかりやるっていうのが伝えたいことになるかなと思って。
村岡)横の繋がりを大切にすることです。僕らの音楽はかなり古めのロックンロールから影響を受けているのでおっさん達から受けるんですよ。だから、若い人たちからこの音楽いいじゃんって言われた時に、そういう人たちを大切にしたいというか、仲良くして行きたいなという気持ちがあります。もちろん若い人だけじゃなくて、上の年齢の方との繋がりも大切にしています。
ようた)この間ライブした時、対バンした他のバンドが、仕事しつつやってるバンドとかだったり、割と年齢上の人たちがいたりしたんですけど、良い音楽だねって沢山言ってくれて、そういう繋がりも大切にしたいなと思います。3人ともそんなSNSのノウハウがなくて、活動を広げるためのツールがあんまり活用できてないなって。でも、自分のやりたい音楽とか、自由にやってたら結構SNSを対してやっていなくても繋がりっていうのはできると思うので。
きすけ)ライブに来て欲しいのは確かです。
ようた)ライブ大事ですね。
村岡)そうですね。学業とも両立しつつ、ライブ活動を積極的に行っていきたいと思います。
おすすめの学生アーティスト
おすすめの学生アーティストを教えてください。
きすけ)Dreadful Empire citizenさんです。
ようた)以前共演してかっこいいと思ったバンドです。オルタナティブさ、ポップさ、プログレッシブさを併せ持つ楽曲の中に反骨的な一面が垣間見える所にはロックンロールの魂を感じます。
The Kunstプロフィール
ガレージサウンドに影響を受けた3ピースロックバンド。Ba.とGt.どちらも作曲を行なっていて、作曲した方がVo.をするという形式をとっている。
The Kunstの楽曲はこちらから
The Kunst X
The Kunst Instagram
Waseda Music Records
インタビュアー・エディター:野口愛紗、小髙愛梨