【楽曲の届け方講座】楽曲自体がメディアとなる時代 〜リミックス、ライブ音源、フィーチャリング、インスト、リプロダクションなど〜

コラム

音楽コンシェルジュのふくりゅうです。

 

BIG UP!さんより「表現者、発信者、アーティストの方々へ向けた役に立ちそうなコラム」をとのリクエストで、毎週1本ずつ書きます。

 

今週のテーマは『音源によって注目を集める方法』。

 

ストリーミング時代、楽曲発信=メディア化の大事だと考えています。まず、音楽視聴環境としていつでもどこでも聴ける! こんな素晴らしい時代は音楽文化が誕生して以降ありえなかったと思います。

 

そもそも、現在では、筆者がよく行っているような楽曲レビューやインタビューなどは、楽曲が簡単に聴けない80年代〜90年代に主流だった “音楽雑誌時代”に、いかにして楽曲の魅力を文字で届けられるか? そんなモチベーションの元、発達してきた歴史があります。

 

それこそ現在は、楽曲や作品との接点を、プレイリストが作品とリスナーをマッチングするメディアとしての役割となり、よりリスナーへスムーズに作品が届きやすい時代になってきたことでしょう。まずリリース日やジャンル、シチュエーションや選者など体系化されたプレイリストを入り口に、楽曲を知った上で、より理解を深めたい際に、楽曲レビューやインタビューなどが有効になるなど、順番の変化が起きているかもしれません。

 

というわけで2020年、CDとYouTubeなどの動画やサブスク、ストリーミング・サービスが混在する現在。作品のリリースによってまずは知ってもらって(配信やメディア展開など)、好きになっていただき(インタビュー記事や解説記事、ライブなど)、愛着を持ってもらう(日々のSNS活用)と言う流れが大事になってきました。

 

昨今のコロナウイルスの問題もあり、音楽業界がこの数年、ライブ・ビジネス偏重へと舵を取りすぎた反動が予想以上にあらわれています。なぜなら、アーティストの活動軸がライブやフェスを軸にスケジューリングされてきたからに他なりません。

 

もちろん、ライブは大事なのですが、アーティストを作品を知っていただくきっかけ、そしてアーティストのブランディングを前に進めていくためにはなによりも導入部、楽曲=“音源”が大事です。そう、どちらも大事なのです。なので、困難な時期こそ立ち返りましょう。今後、5Gとなり回線スピードが爆速となることで、距離や空間といった制限を超えていくサービス展開の可能性もあります。ライブ表現の考え方がより“作品化”していく時代となっていくことでしょう。

 

そこで重要なのが、“リリースをし続けること”です。

 

情報過多な現在。エンタテインメントが世に溢れている時代です。あっという間に世の中の流行、話題が変わっていきます。それはコントロールできない流れです。しかし、その波を上手くのりこなすことによって新規リスナー、既存のリスナーとのコミュニケーションを取ることは可能です。

 

そのためのキーが楽曲=“音源”です。日々のSNSによるコミュニケーション活動の山場を音源リリースによって作ると言う考え方。毎月、もしくは隔月ぐらいな頻度で楽曲リリースというアクションが必要だと思います。その際、オリジナル楽曲を出し続けるのは予算もかかり、カロリーも高いので、リミックスやライブ音源、デモ音源、インスト・ヴァージョン、アコースティック・ヴァージョン、ヴォーカルトラックのみ活かして他アーティストにリプロダクションしてもらったり、ラッパーとコラボレーションして、既存曲のイントロや間奏などでラップを組み合わしていくなど様々な工夫が考えられると思います。

 

Spotifyなどでは、リミックスやフィーチャリングしたアーティストは、相互に楽曲表記にリンク可能な名前を表示することができます。いわゆる、楽曲をリスニングする入り口が倍に増えるということです。海外ではラップミュージックなど、この特性を生かしたリリースが多いですが、日本ではまだまだ活用しきれていないように思います。

 

ちなみに、下記kolmeのアルバム『please callme!-20152018-』は、アーティスト・ブランディングの相談を受けて、“プレイリストアルバム”というコンセプトの提示、リミックスの制作を提案させていただきました。アーティストへの注目度の機会を増やすことが大事なポイントですね。そのために、当時は少し早いタイミングだった神山羊(有機酸)、Chocoholic、Aiobahnへリミックスをオーダーしました。今や引っ張りだこの3名です。という事例を含んでの『音源によって注目を集める方法』でした。

 

以上、現場からお届けしました。


ふくりゅう

Yahoo!ニュース、Spotify、AWA、J-WAVE、NHK、リアルサウンド、EMTG、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲家(プレイリスター)してます。 『キラキラポップ:ジャパン』など担当。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』〈ダイヤモンド社〉
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