言葉が息吹く、世田谷ピンポンズの六畳半フォーク

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は世田谷ピンポンズをご紹介します。

言葉のリズムで魅せる

昭和から続く純喫茶のような人だと思った。高度経済成長期に見るようなノスタルジーが香るのに、しっかりと現代の景色に馴染む。彼の名は、世田谷ピンポンズ。“今”を歌うフォークシンガーである。

粗削りなギタープレイや一癖ある歌声が耳に引っかかる彼だが、最大の魅力は歌詞であり言葉だ。語り口は歯切れがよく、紙芝居の話し手を彷彿させる。世田谷ピンポンズにかかると、単語ひとつひとつが命を持ち、勢いづいてドバドバっと突っ込んでくるのだ。
日本の近代文学の影響を受けつつ、「ドラえもん」や「鬼太郎」などキャッチーなアイコンも嗜む彼だから生み出せる言葉のリズム。時にはネチネチと付きまとい、気づいたときにはビューンと一気にかけていく。カルチャーをハイブリットに吸収してきたからこそ、生まれてきた言葉が世田谷ピンポンズの音楽には息吹いているのだ。

先日配信された『机の傷を髪の毛と間違えて』は、2017年にリリースされたシングル。コンセプトアルバム『喫茶品品』の布石として制作された1枚は、時に爽やかに時に哀愁深くリスナーを魅了する。聴けば聴くほど囚われてしまう作品だ。

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