抑圧された時間が生んだ、キリトのイマジネーション

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はキリトをご紹介します。

頭のなかは、いつだって自由だ

「私の想像の翼は、閉じ込められても閉じ込められても、はばたき続けるの。」というのは、アンネ・フランクの名言だ。どんなに抑圧された空間にいても、頭のなかは常に自由。なんだってできるし、どこにでも行ける。むしろ現実が不自由な分、頭のなかが自由になる可能性だってありえる。長崎県出身のラッパー、キリトがシナリオライターとして開花したように。

「クトゥルフ神話TRPG」のオリジナルシナリオ「彼方からの君に捧ぐ」リリースし、界隈にその名を知らしめた彼。物書きとしてのキリトを成熟させたのは、逃げ場のない教室の片隅だった。学生時代の抑圧された時間が、イマジネーションを豊かにし誰かを惹きつける求心力を持ったのである。
そんな彼は、ラップにおいてもストーリーテリングな作品を作る。シナリオに付随した音楽を制作することが多いのもあると思うが、一聴すると情景が浮かんでくるような言葉の選び方をするのだ。机に突っ伏していた青春時代が彼に与えたギフトといってもいいだろう。

先日配信が開始された『Chloe』は、1st E.Pとしてリリースされた作品。Chloeという存在を通して見える物語の数々が、リスナー自身にダイレクトに語りかけてくる。なんとなく聞き流すのではなく、想像力を働かせながらゆっくり楽しみたい1枚だ。

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