かいゑの作品にみる、ボーカロイドの旨味

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はかいゑをご紹介します。

人じゃないからできることを

DTMが普及した影響で曲づくりを一人でする人も増えたが、打ちこみ音楽の魅力のひとつは人間ができないことをできるところにある。高速のピアノフレーズやべらぼうにキーが高いボーカルなど、機械だから作りえた音楽は違った世界を見せてくれるものだ。かいゑの作品は、そういった“打ちこみ音楽の旨味”に溢れている。

2020年5月に突如として現れ、楽曲を公開し始めたかいゑ。作詞・作曲を手掛けるだけにとどまらず、イラストやMVの作成も自分自身で行っている。
かいゑの魅力は、ボーカロイドの旨味を濃縮した楽曲展開だ。wowakaP「ローリンガール」に見るような高速のピアノリフ、supercell「メルト」のような容赦ないハイトーンなど打ちこみで音楽をやる意味が、一作一作に落としこまれている。また、シリアスなリリックをポップに昇華して聴かせる手腕も見事。悲しいだけのもの、楽しいだけのもので終わらせることなく、視聴後のリスナーに何かを残す楽曲を世に送り出しているのである。

先日配信が開始された「秋空に木霊する」は、かいゑにとって7作目となる作品。ハイトーン×高速フレーズが繰り出されるサビは、これぞボカロといったところ。キャッチーにメッセージを投げかけるナンバーになっている。