TreeTreeTreeが紡ぐ、クールな美学
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はTreeTreeTreeをご紹介します。
静かなるエモーション
「“音楽には勝ち負けがない”というフレーズは、一定数の評価を得られたものが言うから価値がある」と言い放ち、流行の上澄みで作られた音楽に冷静な視線を送る。こんなエピソードを書くと「どんな熱いバンドなんだ」と思うかもしれないが、TreeTreeTreeはどちらかというと冷たいバンドではないだろうか。
感情をぶちまけることもしなければ、勢いのままにかき鳴らすこともしない。胸に迫るものがないわけではなく、ただひたすらに冷静なのだ。
推敲して作りこまれた歌詞は、多くのことを語らない。自分が感じたことを歌っているにも関わらず、どこか他人事のような印象を与える。また、サウンドも必要最低限に抑えたシンプルなものだ。各パートの魅力を打ち消すことのない、絶妙なバランスで構成されている。冷静に淡々と美学を紡ぐバンドこそTreeTreeTreeなのである。
先日配信が開始された「GOGO」は、夏の終わりに漂う切なさをギュっと濃縮した1曲。丁寧に構築されたギターのリズムは、不規則に浜辺へ打ち寄せる波を彷彿させる。優しい歌声が引き立つナンバーに仕上がった。