シンガーズハイが鳴らす、音楽のパワー

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ！ 今回はシンガーズハイをご紹介します。

不器用さゆえの表現力

音楽は魔法じゃない。でも、魔法のような不思議なパワーを持っている。あの頃の記憶が蘇ってきたり、匂いが漂ってきたり、温度が変わったように感じたり。2020年3月より始動したシンガーズハイは、ないはずの“あの頃”を届けるバンドだ。

もともとは、ボーカルを務める内山ショートのソロプロジェクトとして発足。現在では4ピースロックバンドとして活動している。
個性的な歌声、印象的なボーカルという言葉は、凡庸すぎて当てにならないと思っているが、彼に限っては別枠だ。少年の危うさを孕みながらも大人が抱える諦念も持ち合わせていて、曲によってガラッと表情を変えていく。彼自身の不器用な人間性が、結果的として器用に作品を彩っているのではないだろうか。

先日配信が開始された「アカクソメル」は、彼らにとって3作目となる配信シングルだ。哀愁たっぷりしゃがれぎみなボーカルは、また新しい一面を覗かせる。押しこめていた何かが溢れかえるような、エモーショナルなアンサンブルも必聴だ。