最低限の伝える、Bagus!のロマンス

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ！ 今回はBagus!をご紹介します。

伝えすぎないが色っぽい

端から端まで伝えたいことを詰めこまれた愛の告白は、なんとも色気がない。そこにあるのは、エゴの押しつけであり愛に呑まれた自己陶酔だ。つまるところ、情報が多ければ多いほどロマンティックは遠くなる。

Bagus!の音楽を一聴して、「なんてロマンスを感じるユニットなんだ」と思わされた。ベタすぎないけど嬉しい、告白のシチュエーションというのが誰にでもあるだろう。彼らの紡ぐ作品は、まさしくそれだ。
オーセンティックなAORサウンドは、バラの花束というより1本のバラ。心地よい歌声は、シンデレラ城前というより思い出の公園。語りすぎない言葉たちは、長ったらしいラブレターではなく「好き」のたった一言。彼らはAORやシティポップと呼ばれる音像のなかで「ロマンスとは、こういうことだろ？」と言葉少なく語っているのだ。

先日配信が開始された『同じ月を見ている / 夏なんです』は、2nd シングルとしてリリースされた1枚。彼らの懐の深さを知れると共に、何度でも聞き返したくなる作品だ。