声にならないよが紡ぐ、言葉にならぬ想い

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は声にならないよをご紹介します。

堅実なクリエイティブが生み出すエモーショナル

日常は、声にできない瞬間ばっかりだ。海に沈む夕焼けの美しさも大好きなオムライスを食べたときの感動も、別れ話をする君への「大好き」という想いも。たくさんの単語が脳裏をかすめては消えていき、当たり障りない言葉だけが残る。本当はもっと言いたいことも伝えたいこともあるのに。そんな心の叫びを、代弁してくれるアーティストこそ声にならないよである。

彼らは2020年から活動を始めた、若宮めめ(Vo.)・HiRo(Key)から成る大阪のピアノポップバンド。「あなたの声にならない思いを歌に」をコンセプトに、感情で胸がいっぱいになった言葉にできない瞬間を音楽に落としこんでいる。
“感情を音楽に”なんていうと、エモーショナルに突っ走ったバンドを想像するかもしれないが、声にならないよは極めて堅実だ。メロディーも歌詞も丁寧に作りこまれ、届けたい感情を繊細に描いていく。そのうえで、憂いを帯びた透明感のある歌声で想いを鳴らす。だからこそ彼らの音楽は、すさまじい速度でリスナーの心へ突き刺さるのではないだろうか。

先日配信が開始された「いらない」は、“夏の終わり”をモチーフにした切なさが香る爽やかなナンバー。生きる意味に追われていると、毎日に散らばっている大切なことは見失いそうになるが、日々に散らばっている煌めきを思い出させてくれる1曲だ。