青く滲んだ月の行方が描く、行き場のない感情
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は青く滲んだ月の行方をご紹介します。
涙で月を見上げる夜を
小説家とシンガーが「読む音楽」と「聴く小説」を届けるプロジェクト、いろはにほへと。その第一弾アーティストとして打ち出されたのが、小説家・青羽悠とシンガー・Shun による男性デュオ、青く滲んだ月の行方である。
彼らが描いていくのは、涙目で月を見上げるしかない、行き場のない感情だ。周りの人のせいでも環境のせいでもない、自分に原因があるとわかっている。それなのに、どうやって前へ進んだらいいのかわからない。絶望なんて呼ぶにはおこがましい、孤独ややるせなさ、虚無感を落としこんでいる。
逃げ場のないひ弱な絶望を青羽悠が繊細に掬いあげ、Shunは柔らかな歌声で楽曲の輪郭を浮き彫りにしていく。ふたりが重なりあうことにより、涙目の感情はよりエモーショナルにリスナーへ訴えかけるのである。
先日配信が開始された「端正な夜」は、第1弾作品としてリリースされたもの。作曲は人気ボカロPの葵木ゴウが務め、脆く不安定な若者の心情を丁寧に描いた。「不満はないのに納得できず、不安定なやつらを笑うくせに穏やかな自分を憎む」そんな経験がある人には、ぜひ聞いてほしい1曲である。