noba.が寄り添うセンチメンタル

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はnoba.をご紹介します。

ひとりじゃないと思えるお守り

誰かに話すほどでもない些末な憂鬱を、それでもどこかに吐き出したい小さな不安を、そっと共有してくれるアーティスト、それがnoba.だ。

〈苦しくもないこの天気に喜べるほどの余裕も 質のいい余韻も僕たちにはなかった〉
〈昔、SAで手から離れた風船と 当たらなかった宝くじを思い出す〉
『夕立の前は』にて、アコースティックギターの弾き語りの上でぽつぽつと独白のように降り積もる詩は、今この曲を聞いている自分自身の独り言なのではないか、と思うくらいにリアリティがある。
ふと自分で自分が嫌になってしまう瞬間のなにげない心の動きをとても繊細に切り取っていて、その視線の鋭さ、また機微に向き合う真摯さには驚かされる。

一曲を通して歌われる気持ちや風景は、決して明るくはないし前向きでもない。
しかし、大切なのは、noba.は私たちがこれまで一人きりで感じてきた寂しさを言葉にしてくれていること、そしてそれを「僕たち」のものとして歌ってくれること。
よく知った曖昧なメランコリーでも、彼女の歌を通して聞くとなんだかそんなに悪くないような気がしてくるのだ。
どうしてもセンチメンタルになってしまいがちなこの季節、お守りのように聞きたい作品だ。