Wasillaが歌にする優しい時間

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はWasillaをご紹介します。

生活に丁寧に寄り添って

たとえば、幼い頃に日が暮れるまで過ごした公園。学校終わりに門限まで川を眺めていた河川敷。
大人になり、慌ただしく過ごすほどに失い、そして忘れていってしまう穏やかな時間を思い出すことができたのなら、日々は少し豊かになるかもしれない。

ボーカル・作詞のおこめののこと、作曲のこむぎゆうたによるユニット、Wasillaによる『FUYU – EP』は、無くしてしまった大切なものをふと取り戻させてくれるような作品だ。
誰かをそっと見つめたときのやわらかな祈り、まろやかな機微、それをまっすぐに見つめ、素直な言葉にする。
歳を重ねるほど難しくなるピュアな心を大切に育てたまま、重ねた経験の分だけ丁寧に音楽としてかたちを与えたような、そんな全4曲が並んでいる。
唯一のインスト楽曲『mono#0』は、日常の中で鳴る生活音を軸に構成された一曲で、それがよりWasillaの音楽と私たちの暮らしを近づけており、作品内の素敵なアクセントとなっている。

最後に収録されている『シンフォニー』にて、自然体で歌われる〈幸せに生きるだけ〉という言葉は押し付けがましくなく、軽やかに聞き手の心を掬い上げる。
Wasillaが描き出すやさしい日常に触れたなら、あなたも思い出せることがあるかもしれない。