自らの世界をスキルフルに紡ぎ、描く安穏

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ！ 今回は安穏をご紹介します。

背反する魅力を表現して

宅録にて制作、ラップを紡ぐヒップホップアーティスト・安穏。
現在鋭意制作中のソロEPより、『Today again』がリリースされた。

音数は控えめでありながら、それぞれに静かなソリッドさを持った要素が重なり合うトラックは、街を満たす冷たさとどこかでそっと灯る篝火の暖かさ、そんな相反する二つの空気を併せ持つようだ。音が重なる様子をじっくり感じられるスローなテンポ感も、よりその情景を深めている。
凍てつく寒さと、だからこそ燃える炎。トラックから感じられるムードが言葉としてストレートに描き出されるリリックにももちろん注目したい。
生きることは苦しく、それでも続けていかなければならず、ゆえに抱く決意があること。悔いと願いを地続きに紡ぐラップは、シームレスにグルーヴや魅せ方を変えながら展開され、安穏の圧倒的なスキルにも聞き惚れてしまう1曲になっている。

透き通った声とトラックの相性も抜群で、繰り返し聞くほどに新たな音や言葉やリズムに気づける深みのある作品。来るEPのリリースにも期待せずにはいられない。