本山さくらが照らし出す歌謡の魅力

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は本山さくらをご紹介します。

深く新たな扉を開いて

1994年生まれ、熊本出身の本山さくら(もとやまさくら)。幼少期からゴスペルを始め、7歳から本格的にボーカルトレーニングをスタート、2015年には単身NYで音楽やアートを通して表現するカルチャーを学んできたという。音楽制作はもちろん、唯一無二の空気と表現力を活かし、モデルや俳優、デザイナーなどの活動も行っている。

様々な表現の中でも、昭和歌謡や懐かしい空気を纏ったものを魅せるときに最も輝くのが本山の個性だ。最新作『無声心 -museikokoro-』は、前衛的でダークなムードに満ちた1曲だが、その歌声や節回し、言葉選びには彼女だからこその魅力が滲む。プロデューサーにはロサンゼルスよりSeann Boweを迎え、制作は5年ほど前に行われたという作品。このタイミングでリリースされたからこそ、本山の新たな一面を知らしめる1曲として凛とした存在感を放っている。

ピアノを基調とした音作りには妖しさが宿り、恐ろしさや不気味ささえ漂わせる一方、悲哀に満ちたメロディと歌声はそれでも力強く、美しい。奥ゆかしい情念もまた、昭和時代の空気と調和するひとつのピースである。
本山さくらが再構築する歌謡の世界に、じっくり浸りたい。