初恋モーテルが贈る、捻くれたラブソング

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は初恋モーテルをご紹介します。

複雑な想いに迷い込む

東京吉祥寺発、ポップロックオルタナティブバンド・初恋モーテル。約2年ぶり、また新体制初となるシングル『冬煙花(とうえんか)』がリリースされた。

透明感あるギターフレーズが印象的なイントロは、夏の水辺の爽やかさを想起させるようにも、冬の冷えた空気を表現しているようにも思える。続く歌い出しで紡がれる、〈『花火を観に行こう』って/冬に言うのはずるいじゃんか〉というワンフレーズを聞いた瞬間、私たちは歌の中の主人公と同じ温度で〈嘘つきな君〉に翻弄されてしまう。今自分はどの季節を生きているのか、〈君〉が本当は何を考えているのか、私は〈君〉をどうしたいのか、2人はどうなりたいのか。
切なさと儚さを纏いながら、夏祭りや花火を思わせる軽快さも滲ませるバンドサウンドが、その難しさをより深く表現しているところも見事だ。
もしかしたら単純なのかもしれない答えを見逃して、見つけていても目を逸らして、徐々に拗れていく恋のかたちを丁寧に描き上げた苦くも美しいラブソングがここにある。

この『冬煙花』は、3ヶ月連続シングルリリースの第1弾作品となっている。今後のリリースではどんな景色が描かれるのかも楽しみだ。