壊れかけのテープレコーダーズが紡ぐ、主義主張のその先

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は壊れかけのテープレコーダーズをご紹介します。

今だからこそのピュアな感性を

2007年に結成された原ロックを求め続ける4人組ロックバンド、壊れかけのテープレコーダーズ。活動初期はサイケデリックやフォーク、ガレージなどの影響を色濃く感じさせていた彼らだが、2014年リリースの『broken world & pray the rock’n roll』では自身の信じるロックを力強く誇示。続く『SILENT SUNRISE』では多弁すぎる時代に一石を投じるかのように、何も言わない美学を選択するなど、いつの日もピュアな感性で鳴らしたい音を鳴らしてきた。

先日配信が開始された「lost paradise」は、4月にリリースされる4年ぶりのアルバム『楽園から遠く離れて』からの先行配信曲。『broken world & pray the rock’n roll』リリース時には、震災の影響から主義主張が多くなっていた彼らだが、今作はその一歩先にある気づきを歌っている様が印象的だ。コロナや戦争、気候変動といった、ひと昔前であれば歴史のひとつや遠い未来だと思っていたことが現実になっている今の時点から、楽園のようなあの頃を懐古し諦念を優しく描いている。

あえてレトロかつチープに作られたサウンドは、情報が多くなりすぎた世界のなかで、ホッと息つく間を与えてくれるだろう。アルバムの収録曲も楽しみになる1曲だ。