独自の手触りを纏う、電球の音
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は電球をご紹介します。
物語を宿して
佐伯(Gt)と天気模様(Vo, Ba)の二人からなる、東京を拠点に活動中のバンド・電球。ファーストアルバム『人工島』が、2024年5月1日にリリースされた。
これまでに発表された楽曲のリマスターバージョンを含めた全8曲(うち1曲はbandcampのみの収録)を通し、電球というバンドの世界をたっぷり描き出すこの作品。シューゲイザー、ノイズミュージック、アンビエント、様々なジャンルや手法が混ざり合いながらも、統一感をもって鳴り続ける音には写実的な手触りが宿る。
街の景色や誰かの記憶といった、生活に紐づいた瞬間を切り取り、持ち寄り、繋ぎ合わせ、ひとつの作品として纏め上げる試み。無機質に繰り返されるノイズの裏に、暴力的なほどに全てを呑み込むギターの中に、その息遣いが感じられること、それが電球の音に写実性と物語性を与えている。音に没入しながら、まるで映画や写真集を眺めているような感覚にさえ陥る、耽美な時間を導く1枚だ。
音楽好きの学生によるカレッジチャートにて1位を獲得する(2024年5月9日付CRJ-SAPPOROチャート)など、早耳リスナーからの注目も集まり始めている。独自の質感を纏う電球の音から、これからも目が離せない。