SUIMMINが受け止める、割り切れないものたち

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はSUIMMINをご紹介します。

続く暮らしにフォーカスして

人生は、思うよりずっと単純じゃない。
ドラマや映画で描かれたり、ニュースで取り上げられたり、立ち話で話題になったりするのは何か決定的な瞬間のことばかり。人々の興味は、ある場面に至るまでの過程やその後も続く日々のことにまでなかなか及ばないらしい。けれど、そこにも間違いなく物語は存在する。

東京を拠点に活動するシンガー/トラックメイカー/トップライナーであるSUIMMIN。最新シングル『幕間』は、ゆるやかに変わっていく生活の移ろいにフォーカスした楽曲だ。
輝かしい愛の実りやそれがドラマチックに失われていく過程といった、よく切り取られるワンシーンではないけれど、間違いなくそれと地続きである暮らしのこと。人生の/誰かとのひとつの場面を終えて、次の物語を始めるまでの時間のこと。そこにもさまざまな感情や小話が確かに在るということ。忘れ去られがちな、しかし誰もがそれぞれの形で経験したことがあるはずの一場面にじっくりと向き合い、『幕間』と捉え音楽に昇華する、その視点にハッとする。

あたたかくも哀愁が満ちるサウンドに包まれて紡がれる、思い出を愛おしむことと捨ててしまうことの両方を優しく受け止める言葉たち。割り切れなくて当たり前の生活をあらためて大切に思える、人生の『幕間』に寄り添う作品だ。