柔らかな深みが滲む、電子てろてろの音楽

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は電子てろてろをご紹介します。

歌詞も、音も、丁寧に紡いで

立命館大学軽音サークル「ロックコミューン」にて結成、京都を拠点とするバンド・電子てろてろ。就職などによるメンバーチェンジを経て、現在は5人体制で活動している。今年5月にリリースされた、新体制後初の作品となる2ndミニアルバム『もしも生まれ変わったら』が現在配信中だ。

国内外のインディーフォークから影響を受けた柔らかなサウンドと、身近なモチーフから感情を描き出す文学的な歌詞に唯一無二の穏やかさが滲む電子てろてろの音楽。今作でも、〈花と人は違うよ でも人も枯れるよ〉という着眼点にハッとさせられる『ブリザードフラワー』や、〈こだわりの淡いセーター どこへやったの〉と変わりゆく人を想う『薄色』など、日常にありふれたモチーフへ向ける繊細な視線がポップかつ鋭利に光る。電子てろてろの音楽を聞いたあとでは、自らの生活を見つめるときの眼差しも変わりそうだ。

鋭くも馴染みやすい言葉と歌声と、それを包み込むあたたかく豊かな音。いつまでも聞いていたくなる深みをそっと隠しながら、まるで童謡のように、老若男女の心へ響くアルバムに仕上がっている。