マルチな世界観を描くETE

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はETEをご紹介します。

奥行きを感じながら

ボーカロイドを用いた音楽制作を軸としながら、アニメーション、3DCG、イラストなど多岐にわたる表現を行うアーティスト・ETE。6年の活動を経てついに完成した1st EP『HEADLINER』が現在各配信サービスにて配信中だ。

ボーカルに初音ミク、重音テト、v4 flower、ナースロボ_タイプTを起用した全8曲からなり、うち2曲はベースに歌川シキを迎えて制作されたこの作品。各楽曲ごと、各ボーカルごとにまったく違う音楽表現を魅せる鮮やかな個性が耳に残る1枚だ。
たとえば、どちらもv4 flowerをボーカルとし、歌川シキをベースに迎えたという共通点をもつ『ダンバー』『だだをこね【Re】』はv4 flowerのソリッドな歌声にフィーチャーし、生音ベースのうねりがそれを際立たせるダークロックチューンに仕上がっている。歌詞に関しても厭世観をアッパーにぶちまけ昇華するような攻撃的なものになっているが、対して、初音ミクを起用した『CLOSET – another ver.』『じょうずなわらいかた』では社会への萎縮や悲観にフォーカスを当てた繊細な楽曲世界が描かれている。サウンド面をみても、こちらは幾分か音数が絞られ、孤独感をなぞる耳触りを宿している。

こうした作品の描き分けは、ETEが音楽のみに囚われない創作活動を行うアーティストだからこそできることなのではないだろうか。音、言葉、映像、イラスト、その奥に宿るストーリーなど、広い想像力を持つからこそ生まれる個性がぎゅっと詰まった『HEADLINER』、ぜひチェックを。