極限をダークに描く、妖師 杏 feat. 可不
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は妖師 杏 feat. 可不をご紹介します。
溢れ出る混沌を描き切る
2021年に活動スタート、ダークなテーマ選びとエッジの効いたサウンドメイクが光るボカロP・妖師 杏。2025年2月5日より配信スタートした最新楽曲『ラストミール』は、囚人が最後に好きな食べ物をオーダーできる制度を題材とした、切迫する疾走感に満ちた作品だ。
妖しくうねるベースラインが心の奥底から沸き立つ食欲や不安や焦燥の如き揺らぎを見せ、ジャジーなピアノや管楽器によるきらびやかなムード作りは最後の晩餐が持つ豪勢な気配を虚しく照らし出す。また、メインボーカルに可不を起用しながらも自身や歌い手・高井サラミのコーラスを存分に散りばめているのもこの楽曲の特徴であり、それによって、内なる声や他者からの問いかけが走馬灯のように駆け巡る混沌とした心中を描き出している。
この楽曲を聞くと、息付く間もなくあっという間に2分が経過する。極限に追い込まれたからこそ溢れ出す、いくつもの感情を音によって見事に表現した1曲だ。
