すべての音に耳を傾けて紡ぐ、亜門

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は亜門をご紹介します。

音に対する真剣なまなざしで

東京を拠点に活動するサウンドデザイナー/楽器製作者の亜門(あもん)。大学より空間と音の関係についての研究を行い、現在はさまざまな施設の空間音楽を手がける一方で、アンビエントマシンをはじめとした自作楽器の製作、音楽を通じたコミュニケーションのためのワークショップ開催など多様な形の音の在り方を模索している。

そんな彼が、今夏より新たな楽器による連作のリリースをスタートした。身の回りに存在する様々なもの/素材が持つ特有の音=声を引き出すためのマシンを作り、その声を軸に楽曲制作を行うという試みである。8月にリリースされた1作目『SPRING』ではバネが主役となっていたが、続く最新シングル『PALM』では、道端で拾ったというヤシの樹皮にフォーカスが当てられている。

楽曲内で聴こえる、ブチブチ、ジジジ……といった音こそが、ヤシの樹皮が持つ声だという。か細く繊細なイメージと、力強いエネルギーを内包したような奥行きがアンビバレントで凛とした印象を与える今作。
身の回りの全てのものには音=声が宿っているということ。音の重なりから音楽が生まれるということ。それを再確認することによって、音との関わり方が、世界の見え方が変わる。そんな大きなきっかけを秘めた1曲だ。