たったこれだけ!SNS、サブスク楽曲配信において、手軽にクオリティを上げる手法(初級編)
コラム
作編曲家、ギタリストの加部輝です。
今回は「宅録で完結し、SNSやサブスクで配信する際にこれだけは気をつけること」というテーマで書いていこうと思います。
ここ数年の音楽リスニング環境は目まぐるしく変わっています。
以前は「好きなアーティストのアルバムを買って、頭から順に聴く」という方、多かったと思います。(もちろん今でもありますし、筆者も好きです。)
しかしここ最近は「SNSやサブスクで無限に並べられた楽曲をチョイスする」と言う聴き方がメインになってきていると考えます。そして公式非公式問わず沢山のプレイリストが作成されております。そのようなプレイリストを聴くときは必然的に様々なアーティストがごちゃまぜになっています。
これはどういうことか。一言で言うと。
「比べられてしまう」
ということです。
もちろん音楽に優劣は付けることは出来ません。がっっ!
せっかくの良い音楽が、外側の”ガワ”の部分で「なんか迫力ない?音小さい?」とか「音質が?」とか思われてしまうのは、筆者悔しくてなりません。
腕利きのミキシング、マスタリングエンジニアに頼めばクオリティは高くなりますが、予算との相談になるでしょう。
またこのコロナ禍において、宅録で完結せざるを得ない方も多いのではないでしょうか。
そこで、これだけは気をつけるとクオリティが上がる。という点を紹介致します。
1にも2にも、音源の音量、音圧を上げるには「マスタリング(マキシマイズ)」です。
筆者はOzone 8というプラグインソフトを使用しています。(現行はOzone 11。)
なんとこちらのソフト、音源を自動解析し適切な音質、音圧レベルへ持って行ってくれる超絶優れものです。
まずはこちらのプラグインを、ミキシング後マスタートラックに挿し、立ち上げます。
次に画面中央上の「Master Assistant」をクリック。
すると選択画面がでてくるので、
TargetをCD、IntensityをHigh、それぞれ選択いたします。
(今回のテーマはとにかくSNSサブスクで負けない音量音圧なのでHighを選択。)
下部の「Next→」を押すと
音楽を流してくれとのことなので、DAW側を操作して音源を再生しましょう。
すると、
自動解析が始まります。(この途中段階でドカッ!と音量が上がるので、ご注意を)
なるべく音数が多く、音量も大きいパート(サビなど)で解析をすると良いのでそちらをおすすめ致します。
解析が終わると
こちらのマキシマイザーが開いた状態の画面になります。
この段階でかなり音量音圧が大きくなり詰まった状態になっていると思います。
左下のthreshold(しきい値)のフェーダーをさらに下げていくと、音量音圧がさらに上がっていきますが、やりすぎるとどんどん音が割れて歪んでしまうので注意です。
後は耳で確認しながら色々と弄ってみると良いです。
Ozoneは他にも音像を広げたりetc..様々な機能があるので是非ともおすすめ致します。
また、マスタリング前に注意したい点がもう一つ。
「ミキシングの段階でMasterが0dbを超えないように作る」
ということです。
例えるなら
「一個のキャリーケースに沢山洋服を詰め込むにはしっかり畳む。」
ということです。
入る最大値は決まっているので、乱雑に大きいまま入れてしまうと当然入りきらなくなってしまいます。(はみ出た分は割れて歪んでしまう。)
音量が極端に大きいところ等、MIXの段階でコンプやヴォリュームを書くなど処理をしておくと良いです。
筆者はミキシング、マスタリングにおいてはプロではありませんが、この辺りを注意して行っていくことで、パッと聴いた印象で「しょぼっ!」とはならない音源を作ることが出来ます。
以上の工程を経て(他にも色々と有りますが今回は割愛)完成した音源を少し紹介致します。
こちらのシンガーソングライターのともきくんのマッシュアップカバーシリーズ、半数ほど制作で協力させて頂いております。
色々と面白いコンテンツも有るので是非覗いてみてください!
さて、今回は最短距離で出音のクオリティを上げる方法を紹介して参りました。
読者の皆様のDTMライフが少しでも良いものになることを願っております。
加部輝
作編曲家、ギタリスト。
バンド「ウルトラ寿司ふぁいやー」のギターで、主に作編曲を担当。
A.B.C-Zへの楽曲提供や日向坂46の編曲、King & Prince、清竜人、竹渕慶etc..のギターRec参加等。
趣味は野球(観るのもやるのも。観るのは特に高校野球東東京。)
https://twitter.com/akira_kabe
2020/11/28 release ウルトラ寿司ふぁいやー「What we 貫」好評発売、配信中!