アーティスト必見!TikTok楽曲プロモーションとインフルエンサーの活用方法

コラム

専用の機材を準備したり、スタジオに行ったりしなくても、楽曲作成からリリースまでが自宅でできるようになり、誰もが気軽にアーティストとして活動を始めやすい世の中になりました。しかし、楽曲を作成してみたものの、どのようにして自分の楽曲を世の中に広めていけば良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、楽曲を広める効果的な方法の1つである、TikTokでの音楽プロモーションの重要性や、その方法などを解説します。

▼TikTok他、YouTube Shorts、リール等、各ショート動画コンテンツの特徴について別記事でご紹介しております▼
ファンベース構築のためのショート動画の使い方 -TikTok、ショート、リールを解説-

TikTokでの音楽プロモーションの重要性

ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)「TikTok」は、現在日本では1700万人以上が利用しており、世界では約10億人以上のユーザー数を誇ります。また、TikTokの利用者は若年層だけでなく、30代以上のユーザーの割合も6割を超えており、全世代に見られるSNSになりました。

SNSが発達して、ストリーミングの需要が年々高まっている今、TikTokに投稿された動画、いわゆる「ショート動画」がきっかけで「バズ(※)」を引き起こして、人気を獲得する楽曲は、世の中にどんどん登場しています。今や、オリコンストリーミングランキングの半分以上が、TikTokをきっかけに注目された楽曲を占めることも珍しくありません。ショート動画をきっかけに自身の楽曲を広めていくことは、音楽プロモーションにおいて1位2位を争う方法になっています。

※バズ…英語のBuzz(バズ)が由来で、日本語で「がやがや言う・噂になる」といった意味。一時的にインパクトの強い宣伝をすることで、人の関心を集めるマーケティング手法の1つ。日本では主にマーケティング業界で「バズる」、「バズマーケティング」という言葉が使われており、一般的に定着してきている。

TikTokでの楽曲のプロモーション方法~「バズ」が巻き起こるまでの事例~

TikTokでの楽曲をプロモーションしていく方法は、さまざまです。ここからは、「バズ」が巻き起こるまでの実際の例を交えて、詳しく紹介します。

1. インフルエンサーが楽曲に合わせてダンス動画を発信

ダンス動画は、TikTok登場初期から変わらず現在も人気のコンテンツです。「バズる」と、誰もが一度は耳にしたことのある楽曲になることが多いスタイルといえます。
ダンス動画に向いている楽曲は、踊りやすさはもちろんのこと、意外性のある振り付けや、覚えやすい歌詞やキャッチーなメロディーが、より注目される傾向にあります。

「エジソン」で大ヒットの「水曜日のカンパネラ」

音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」が2022年2月25日にリリースした「エジソン」は、リリース当初はあまり話題になりませんでしたが、同年6月にフォロワー100万人超のTikToker「おおしま兄妹」が「エジソン」の振り付けを考案して、「#踊ってみた」動画を発信したところ、インフルエンサーの間で話題になり、「エジソン」の「踊ってみた」動画が次々に投稿されるようになりました。そのブームは中高生などにも広がり、7月にはオリコンストリーミングランキング13位にランクインしました。「エジソン」の「#踊ってみた」動画は、現在では14万件以上も投稿されるほどになりました。
この「踊ってみた」動画ブームをきっかけに、水曜日のカンパネラの公式アカウントからもさまざまな動画が投稿されるようになりました。また、2023年10月には「THE FIRST TAKE」に登場し、より認知度を上げていきました。

おおしま兄妹
https://vt.tiktok.com/ZSLos5vn2/

水曜日のカンパネラ 本人投稿
https://vt.tiktok.com/ZSLosXqcJ/

2.MVやライブ映像の「切り抜き動画」

最近流行しているコンテンツで、アーティストのMVやライブ映像の一部を切り抜り抜いて動画を投稿する方法があります。アーティストが自分自身で投稿するのはもちろんのこと、撮影可能のライブでファンが動画を撮影して、編集したものを投稿するというパターンもあります。こうした「切り抜き動画」は、楽曲やアーティストに興味を持ってもらえる傾向にあり、サブスクリプションサービスへの誘導や、ライブ集客に直結しやすい点がメリットとして挙げられます。

男性アイドルグループ「THE SUPER FRUIT」の「チグハグ」

7人組の男性アイドルグループ「THE SUPER FRUIT(ザ・スーパーフルーツ)」が歌う「チグハグ」は、楽曲が正式にリリースされる前に、ライブ中のパフォーマンスの様子をファンが撮影して、その動画を「切り抜き投稿」としてTikTokに投稿されたことがきっかけで話題になりました。その後正式に楽曲がリリースされると、オリコンストリーミングランキングで最高10位を獲得するという、異例の流れで「バズ」を巻き起こしました。
「チグハグ」の音源が使用されている動画は、現在TikTokに12万本以上投稿されており、総視聴回数は12億を超えています。2022年10月に「カウントダウンTV」へ出演したり、同年12月には武道館で開催された「ももいろ歌合戦」へ出場したりと、活躍の場が広がっています。

このように、ライブ中に撮影可能な時間を設けて、ファンにSNSへの発信を促したり、より多くの切り抜き動画を投稿してもらうために、キャンペーンを企画したりするアーティストも多く見られてきています。
例えば、ライブ映像の切り抜き動画を、指定したハッシュタグを付けて投稿してもらい、その中で最も「いいね」の件数を多く獲得した人にプレゼントを贈るといった方法などがあります。ただし、こういった応募者参加型の企画の場合、ファンの数が多いほど拡散力が見込まれるため、活動を始めたばかりのアーティストにとっては難しい手段かもしれません。

エフェクト入りの切り抜き動画でバズった「トンボコープ」

2022年に活動を本格始動してから、デジタル配信サービス「Spotify」で注目のニューカマーを紹介している人気のプレイリスト『RADAR: Early Noise』にピックアップされるなど、話題沸騰中のロックバンド「トンボコープ」。彼らのTikTok公式アカウントでは、自分たちで編集した切り抜き動画を多数投稿しています。

デビュー以降、彼らはさまざまな動画をTikTok上に投稿し続けてきました。2023年4月にリリースされた3rdシングル「Now is the best!!!」の切り抜き動画を投稿したところ、一気に注目されて、現在では該当楽曲が約1万5000件以上もの動画に音源として使用されています。楽曲が話題になってからは、TikTokのフォロワー数もどんどん増加しています。

彼らの投稿が注目されるようになったのには、さまざまな要因がありますが、その1つとして、ライブ映像の切り抜き動画にインパクトの強い歌詞やエフェクトを入れて投稿した点が挙げられます。トンボコープの楽曲は意外性のある歌詞が多く、それに加えて強く印象に残るエフェクトを取り入れたことにより、「バズ」につながったのかもしれません。

たとえフォロワー数が少ない状態からでも、誰にでも「バズる」可能性があるのがTikTokのいいところであり、何が「バズる」のかが誰にもわからないのが面白いところです。動画は一つだけ投稿するのではなく、さまざまなバリエーションを作って、最も反響があった方法をさらに深掘りしてみるのがいいでしょう。

3.音楽紹介系アカウントに楽曲を紹介してもらう

音楽紹介系動画は、その名の通り楽曲を紹介する動画を投稿しているアカウントです。TikTok上で根強く人気のあるコンテンツの1つであり、楽曲のプロモーションとしても有効です。音楽紹介系アカウントは今や多数存在しており、各アカウントのフォロワー数や再生数もかなり伸びているのが特徴です。音楽紹介系アカウントに取り上げられることで、切り抜き動画と同様に、楽曲やアーティストに興味を持たれやすく、サブスクリプションサービスへの誘導や、ライブへの集客にも直結しやすいでしょう。

ここでは、人気の音楽紹介系アカウントをいくつか紹介していきます。

・菩一HIENDハイエンド

「菩一HIENDハイエンド」は、駅前などで道行く人に「今何(の楽曲を)聞いてますか!?」と質問して、その楽曲を紹介する動画を投稿しているアカウントです。
TikTokのフォロワー数は42万人以上で、1つの動画の再生数が900万回以上になることもあるため、日本で最も影響力の高い音楽紹介系アカウントの1つと言えます。

・ぴぴみゅーじっく

フォロワー数3万人超えの邦楽ロック専門の楽曲紹介アカウントです。楽曲のチョイスの良さはもちろんのこと、投稿している動画の背景も工夫されているので、観ても楽しめる点が特徴的です。投稿されている動画に「いいね」の数が多くある点からも、投稿内容の充実度が伺えます。

TikTokには、この他にも多くの音楽紹介系アカウントがあります。音楽紹介系は、そのアカウント自体が有名だから観られることもありますが、ハッシュタグ検索からその動画に辿り着くというケースが多いことが特徴に挙げられます。そのため、もしも楽曲紹介の依頼を検討する場合は、アカウントのフォロワー数だけではなく、その動画に対して適切なハッシュタグが付けられているかどうかなどにも注目すると良いでしょう。

TikTokで「#曲紹介」などと検索すると、さまざまなアカウントが見つけられます。自分が作成した楽曲や、アーティストとしてのコンセプトに合いそうなアカウントを探索してみてください。

動画の作成・投稿を依頼する方法

TikTokを活用した楽曲のアプローチ方法は、さまざまなものがあることがわかりました。まずは自分で動画を作成してみようと考える方もいれば、「作りたい動画のイメージがあるけれど、自分ではうまく作れない」、「自分で動画を作って発信しても、バズるかどうかが不安」など、迷う方もいるかもしれません。
ここからは、TikTokのインフルエンサーに動画の作成・投稿を依頼する方法をご紹介します。

依頼連絡の取り方

1.DMで直接依頼

インフルエンサーのSNSアカウントのDM(ダイレクトメッセージ)機能を使って直接依頼をする方法です。「#踊ってみた」「#振り付け」などのハッシュタグで参考動画を検索して、自分の楽曲やコンセプトに合いそうな方に依頼してみるといいでしょう。

TikTokは、相互フォローの関係でなければDMを送ることができない仕様になっています。そのため、TikTokアカウントに連携されているInstagramへアクセスして、InstagramのDMでメッセージを送っている方が多いようです。しかし、インフルエンサーには毎日膨大な数のDMが届いているため、メッセージを見落としてしまったり、スルーされてしまったりする可能性が高いため、根気強くアプローチしていく必要があります。

また、個人間でのやり取りとなるため、依頼したいイメージや金額面に対しては予め明確に伝えておかないと、トラブルに繋がるおそれがあります。依頼をする前に、細かい取り決めをしておきましょう。

2.インフルエンサーの所属事務所に依頼

次に、依頼したいインフルエンサーが所属している事務所を経由して依頼連絡を行う手段です。個人間のDMでのやり取りよりも、自分が依頼したいインフルエンサーに頼める可能性が高まりますが、依頼料は今回紹介する3つの手段の中で最も金額が高くなる可能性があります。

一般的に、インフルエンサー事務所に依頼する場合の相場は、「1投稿の価格(円)=フォロワー数×1.5円」です。例えば、10万人のフォロワーがいるインフルエンサーへの依頼の場合は、1投稿あたり15万円になる計算です。

3.プロモーションアプリを経由して依頼

音楽プロモーションアプリ「minc(ミンク)」のようなサービスを利用して、インフルエンサーに依頼する方法もあります。mincには、所属しているインフルエンサーごとに金額や、どんなことができるのか等が細かく明記されているので、探す手間が短縮されるうえに、気軽に頼みやすいでしょう。

以上、大きく分けて3つの依頼方法を紹介しました。
1件のみの投稿でうまくバズるケースも稀にありますが、投稿数が多いほどにその分見てもらえる=「バズる」確率が上がります。予算などを考慮して、依頼方法や投稿数を考えていくといいでしょう。

依頼内容とポイント

では実際に、楽曲の紹介動画の作成・投稿を依頼をする際は、どのようなことに気を付けて文章を作成すれば良いのでしょうか。
次のポイントを押さえて、依頼文を作成してみましょう。

自己紹介

初めて連絡をする場合は、まずは自分はどんなアーティストなのか、どのような活動をしているのかなどを簡単に記載しましょう。

紹介してほしい楽曲の説明

曲の特徴やポイントに加えて、どこを特に紹介してほしいのかなどを明確にすることで、動画の完成系がイメージしやすいようにしましょう。

詳細条件

依頼料(報酬)や、投稿期限(納期)が記載されていないと、相手は依頼を検討することが難しいです。事前に決めておくようにしましょう。

依頼料(報酬)は、相手によって大きく変わるため、正直に自分の予算を伝えるようにしましょう。予算がまだ決まっていない場合は「どれくらいの予算になりますか」と相手に質問してみても良いでしょう。
また、動画を投稿するまでの期限(納期)は、相手の状況にもよるため、おおよそ1カ月を目安に設定するようにしましょう。

音楽プロモーションアプリ「minc」では、低予算・短納期で対応可能なインフルエンサーも多数在籍しています。時間がない人や始め方がわからない方や、予算があまり出せない方でも気軽に依頼できるため、これから楽曲のプロモーション活動を始めてみたい方におすすめです。

今回は、TikTokでのさまざまなプロモーション方法を紹介しました。
次回のセクションでは、誰でもすぐに始められるTikTokの効果的な活用方法について、詳しくご紹介していきます。


<桝谷正樹 プロフィール>

株式会社BabyJamコンテンツマネージャー。インディーズアーティストのための音楽プロモーションサービス「minc」を運営。アーティストに合わせたTikTokプロモーションのサポートを行っている。

〈minc サービス紹介〉

サービスLP:https://mi-nc.com

iOSアプリ:https://apps.apple.com/us/app/id1612974112

Androidアプリ:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.babyjam.influencer