『a-nation online 2020』オーディショングランプリ「AATA」インタビュー

インタビュー

『a-nation online 2020』出演オーディションでグランプリを獲得、日本最大級のオンラインフェスで堂々たるパフォーマンスを披露したAATAが『BIG UP!zine』のインタビューに登場!

―改めまして、a-nationライブお疲れ様でした。最初、BIG UP!のステージ・オーディションのグランプリと聞いてどうでしたか?

正直、スタッフさんからの最初のメールでは、出演候補者に選ばれました、ということだったので最終決定とは思わなくて。そんなオオゴトだとも思っていなかったら、プレスリリースが出てグランプリと知ったんですよ!でも、とにかくありがたかったです。ファンの皆さんもすっごい喜んでくれて。
a-nationって音楽好きでなくても知ってるフェスじゃないですか。他のフェスよりもお茶の間に近いフェスという印象はもともとありましたが、実際、普段音楽を聴かなそうな友達からも、たくさん連絡が来てびっくりしました。『ついにAATAが…』とか、『すごいことしたねー!』とか。
やっていること自体はずっと変わらないですが、やっぱりいろいろな方面から反響があるのは嬉しいですね。

―今回のステージでセレクトされた2曲に関しては何かポイントとかありますか?

“Day By Day” は今回のオーディションのエントリー曲で、BIG UP!さんに選んでいただいた曲なので入れたかったのと、自分の中では歌詞の世界観が、コロナ禍の今の現状にリンクする部分があると思ったので選びました。でも“Day By Day”だけだとちょっと玄人向け過ぎるかな?とも思って…。お茶の間向けのキャッチーなもの、そういうバランスの取れたものをもう一曲入れたほうがいいかな、と思って、 “Sway”をセレクトしました。

―ステージはトークも演奏もとてもリラックスしている様に見えたのですが。ステージ周りのスタッフもそう言ってましたが、実際はどうだったのでしょう?

めちゃくちゃ緊張しました。MCで喋ってたことを何も思い出せないくらいです。あんなに照明を当てられるのも初めてだし、クレーンみたいなカメラが向かってくるとか、そういうのも初めてだし。なんか、もう、TVの収録みたいな感じで演奏するのは初めてでしたから、やっぱり緊張しました。
今までやってきた配信ライブって、よく知ってる馴染みのライブハウスが多かったので、例えばMCの時とか、音声に乗らなくても皆さんそれなりに反応してくれるんですよ。でも、今回はそれもないので、余計に緊張しちゃって。なんか全然関係ないのに、準備の時にPAさんに話しかけちゃったりするぐらい緊張してましたね。
でも、それがそう見えなかったというのは、ライブの経験値というか、場数を踏んで来たおかげかな、と思いますね。いろんな現場も経験させていただいて、自分の心を整えること、例えば、緊張していることをちゃんと認識して、一息ついたり、緊張している時ほどMCはゆっくり喋ったり、言葉づかいだったり、そういうのを気をつけられるようになったのは、やっぱり場数を踏んできたことが大きかったかなぁ、と

―AIさんのZEPP DIVER CITYなどの大きなライブにも出演してましたよね?

そうですね。あの時は全然緊張しなかったんですよ。自分でもびっくりするくらい、すごく楽しくて。いつも通りというか、お客さんともちっちゃなライブハウスと全く変わらない距離感と気持ちで出来たので…。なんですかね…。私、素晴らしい人達が出るライブほどすごい良いライブをするんですよ。だから、私はライブの時に他の演者さんも見たいって思うタイプなんですけど、あの時はすごい会場の雰囲気が良かったんですよね。自分にも合ってるというか。AIさんの空気感も良かったですし、リハから皆さんすごい良かったですし、そういう良い影響を受けてできたんじゃないかなぁ、って思いました。

―周りの空気を素直に吸収してリアクションして出す、というタイプでしょうか?

そう思いますね。

―先ほどTVみたいだったとおっしゃてましたが、今回はコロナ禍における特殊な配信ステージだったので、他のステージとはまた違って意識していたことなどありましたか?

丁寧に歌おうって思いました。グルーブ感も大事だとは思うのですけど、配信の難しさというか、生で聴いてたら音の震えとか、会場の雰囲気とかで、お客さんはよくわかんなくても乗ってきてくれる感じがありますけど、配信ってなると、聴いてる、見てる方も結構冷静というか…。なので、良くも悪くも実力が見えやすい気がしてるんですよ。歌詞もライブで聴くよりも下手したら聴き取りやすそうだし、ちょっとした音程のズレとか、そういうのも、もしかしたら気になっちゃうかもしれないなって。自分が他の方の配信ライブを見てる時にも、“あれ、この人、ライブハウスで見るよりもはっきり聴こえるな”とか思ったり、楽曲を分析しちゃったりとか、そういうのが気になっていたので、“じゃ、ちょっと丁寧にいこうか”と。配信となると、言葉とメロをしっかり、丁寧に伝えたいなぁ、と思いました。

―その話を聞いて、AATAがしっかり歌えてるな、落ち着いてるな、って見ていて思えていた要因がとてもよくわかりました。ちなみに、配信ライブなので色々なデータも出てきていまして。AATAのパートのアクセス数はリアルタイムで75,000人を超えてました。書き込みコメントでは批判的なものは全く見当たらず。とにかく「声がいい」「心地よい」というものが多く、目立ってました。この辺に関してはどうですか?

私は良くも悪くも、嫌われる声をしてないな、と。それが、一時期ネックではあったんですよ。声はいいって言われるけど、なんか、BGMみたいって言われることもあって。とことん嫌われるというか、好き嫌いがはっきりしてる声って印象に残るじゃないですか。そういう声ともまた違うから。そんなふうに関係者の方からも言われたりしていたので、コンプレックスに感じることもありました。
ただ、最近はその時よりも歌い方にちょっとクセが出てきていて、自分の声が前よりもっと好きになってきました。曲のグルーヴに合ってきたっていうか。自分が聴いている音楽の影響もあるんだろうなと思います。最近はソウルっぽさも意識したり、ちょっと前からヒップ・ホップを聴いていて。ヒップホップもメロが特にはっきりとあるわけじゃないのに、リズムと音が気持ちいいじゃないですか。あの感覚をだんだんと自分の歌に落とし込めていけている感じがしています。
でも、この “心地いい” っていうのは嬉しいですねー。

―“声がいい” より嬉しい?

いや、“声がいい” の方が嬉しいです(笑)。

―そういえば、そもそも最初にミュージシャンを目指したきっかけは、誰かに声を褒められたからではなかったでしたっけ?

そうそう。音楽の先生が“君は声がいい”と言ってくれたところから始まってるから。嬉しいです。

―スクショも!多かった!というデータもあります。

ええ!?なんでだろ!?面白いですね。意外すぎる。別に、とりわけビジュアルで売ってるわけでもないのに。へぇーー、、、イメージとしてはアイドルさんの方が多そうなのに。面白い。

―スクショが多いというのは、応援してくれていた人が本当に喜んでくれていた様な感じもしますけど。

記念撮影みたいな?結構、配信ライブに慣れてる方も多いので、そういうのもあるかもしれないですね。

―スクショは嬉しい?嬉しくない?

いや、嬉しいです。反響があるのはすごい嬉しいです。さらっと流れていく方が寂しいので。

―これまで、他にも印象的だったステージとかありますか?例えば、初めてのライブとか。

あー…。初めてのステージは緊張しすぎて、もう、全部を間違えてましたね(笑)一曲もまともに演奏できなかったです。断片的に覚えてますね。本当にキツくて(笑)。あんなに練習したのに、こんなに出来ないんだと思った記憶はあります。
でも、私、おっきい場所の方が向いているって思った時があって。ラジオDJの Nobbyさんの企画イベントでヤマハホールに呼んでいただいて、アコースティックのライブだったのですけど。ホールっていうこともあって、声をポーンと出したらそのまま飛んで行く感じがすっごく気持ち良くて。その時もお客さんは沢山入っていたんですけど、全然緊張しなくて。なんか、お客さんが入れば入るほど、私はのびのび歌えるかなぁ、って、その時感じました。ライブハウスでお客さんが一人しかいないって時とか、そういう時の方が緊張したなぁ、って。なんなんだろうか?と思うのですけど。

―一対一より、一対全の方が良いタイプって、人を個として意識しない方がやりやすいってことだから、結構、人見知りの人が多い様な気がしますが。

あ、そのタイプかもしれない。そうかも。私とても人見知りなんですよ。シャイではあると思います。

―ライブや自分の音楽で一番聞いてもらいたい所は?

一番は声だなって。そこは揺るがないアイデンティな気がします。音楽性は平仮名の「あーた」だった時から、一番新しいEPまで、ほんと、結構、いろんな音楽をやってきてるつもりで。一枚一枚カラーが違ったりとか。
でも、ずーっと聞いてくれているお客さんがいてくれたり、「AATA」として統一感がある部分というのは、やっぱ、声だったのだろうなと。私が歌えば私の曲になるから、どんなサウンドになっても大丈夫、っていうのはずっと思っているので、やっぱりそこは大事に、忘れないでやっていきたいなと思っています。

―ソングライティングに関して強く意識していることは?

私はどちらかというと音が気持ち良い方が好きなので、歌詞だったら、口にして気持ちのいいものを選択しています。なので、歌詞はこの言葉を使いたいから、というよりも、なんか、パズルみたいにして、気持ち良いキーワードをいくつかポツポツポツと出して、それを繋げて…みたいな作り方をよくします。サビだけ音と一緒に歌詞がポロっと出てきたら、それをキーワードに曲を作ったりとか。
今より楽器が弾けなかった時とかも、それはずっと気にしてて。楽器で16分感が出ないんだったら、口で16分感を作ろうって、言葉を詰め込んだりとか。そんな作り方をしてました。

―最新アルバム『BLUE MOMENT』に関して、制作時の苦労話などありますか?

『BLUE MOMENT』はプロデューサーの意向で音楽性を絞ったんですよ。そのアルバムを作り始める前は“どういうアーティストとして見せたいの?”というのが、自分の中でも結構フワッとしていて…。それもあって、『BLUE MOMENT』のひとつ前の『BLOWING』作品は、その時自分が出来る音楽を全部詰め込んだ『BLUE MOMENT』とは正反対みたいなフルアルバムになっていて。それもすごく気に入っているし、出して良かったなと思うんですが、でも、新しい層というか、私を今の段階で知らない人が聴いても、“AATAってこんな人なんだ”というのをわかりやすくするためには、やっぱり“絞る”ことが大事だと思うので、アルバムを作る時に、“君はこっち方面で行こう”って道筋を立ててもらったのはすごくいい経験になりました。それにそのプロデューサーに出会うまでは、自分の強みを客観的に人に評価してもらうことがなかなか無かったので、自信になりました。
あと、ライブでやって良い音楽と、音源にして良い音楽ってまた別だなって思うんですよ。それを、CDを作って、色んなシチュエーションで聴いてっていうアルバムを考えた時に、そういうものに絞るっていうジャッジをしてくれたプロデューサーは本当にありがたかったなって今でも思います。

―今の時点で、まだそのアルバム制作時のコンセプト線上にいる感じですか?

今は、もうちょっと生音を混ぜた音楽をやりたいなと思っています。
『BLUE MOMENT』のようなトラックメインの“AATA”と、弾き語りをベースにした“あーた”の間には、結構ギャップがあったと思うんです。でもどちらも私の音楽。両方をやってみたからこそ、それぞれの強みや良さが見えました。だから、そこをうまくミックスした、でも、ちゃんとトラックとして遊び心もある様な、絶妙なところを次、ちょっと目指したいというか。生感もありつつ、でも、生だったら出せないかもしれない、ちょっとした、かわいい、細かい音とか、エフェクトだったりとか、そういうのも使って世界観をふくらませたいな、みたいな。

―左右の端が見えて、真ん中が見えてきたという感じでしょうか?

そんな感じがしてます(笑)

―じゃぁ、次の作品は傑作っぽいですね!?

あはは。。。(笑)
アルバムの中で、この曲はトラックメーカーに任せよう、この曲はバンドで一緒に作ろう、とか、そういう遊び心のある作り方をしたいなと思っています。でも、そういう中でもしっかり統一感があるもの。難しいかもしれませんが、どんなアレンジでも私が歌っていれば大丈夫っていう自信があるので、ちょっと冒険もしつつ、いろいろやってみたいなぁ、と思っています。

―なんか、とても楽しみですね。

『BLUE MOMENT』を出してから、逆にものすごく弾き語りを評価されるようになったんですよ。アルバムで音源から知ってくださった人が、アコギと歌だけでこういう表現の仕方があるんだ、とか、バンドだとまたこういう感じなんだ、とか、どんな形でも演奏や表現が出来たり、同じ曲でも違って聴こえるっていうのをすごく評価してくれて。
ずーっとやって来ていた弾き語りというのが、逆に、ここにきて武器になるのか、って思いました。“弾き語りしかできない”ではなくて、“私、これもこれも出来るんですよー”って見せられるのって凄い武器だなぁ、と。あと、こういう時期ですし、大人数でのライブを色んなところでできない時に、これはやっぱり武器だなぁ、って。

―確かに、今回のオーディションでもライブパフォーマンスは大きな示順になってましたね。ただ今回、新しい人とスタジオ・アルバムを一枚作ることによって新鮮で進化したところなどもあったのではないでしょうか?

そうですね。コードワークとかすごく勉強になりました。すごい新鮮でしたね。
私はもう、このコードしかない、っていうところが、全然違うコードを当ててきてくれたりとか。あ、私はこういうコード進行好きだったんだな、っていうのも、こういうふうな形で制作をしてみて初めて思いましたし。

―やっぱり、次の作品とても楽しみですね。

楽しみです(笑)

―そんな今後の活動は?

コンスタントに音源は出したいなぁ、とは思います。デジタル配信とかサブスクとか一年前よりどんどん盛り上がってきてるし、こういう時期だから、一曲づつでもいいから、コンスタントに出して、ずっと、リスナーをひきつけたいですね。ライブもなかなかできないので。

―BIG UP!に今後期待したいことか、やってほしいこととかありますでしょうか?

BIG UP!さん主催のイベントは興味があります。
後日、それなりに編集れたステージ映像とかをいただけたりすると、とてもいいなって(笑)。

―最後に何かメッセージなどあれば。

今まで活動してきた中で一番ノッテいる時期だと思いますし、色んな話題がコンスタントに続いている良い年だと思います。なのでファンの人には期待してて欲しいなと思います。
あと、例えば、この記事とか、BIG UP!さんキッカケで知ってもらえた方にも追っかけてもらえたら嬉しいです。


AATA プロフィール

ボーダーレスで多彩な音楽性、唯一無二の歌声を持つシンガーソングライター。
2018年ディスクユニオン主催「DIVE INTO MUSIC.オーディション」グランプリ。昨年12月リリースされた「Blue Moment」は、J-WAVEパワープッシュに選出され、”J-WAVE TOKIO HOT 100” に5週連続でランクイン。また、AIがメインアクトを務めた「JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by 日本セーフティー」東京公演のオープニングアクトに抜擢され、Zepp DiverCity(TOKYO)にてAI、TENDREとの共演を果たした。
アーティスト活動の他にも、現在放映中の(株)バンダイ「ころがスイッチドラえもん」CMソングの作詞/作曲・コーラスを担当するなど、その活動は多岐にわたる。

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