日陰からそっと肯定する、翳の歌声

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はをご紹介します。

誰かの居場所になれる歌

「脳と心で聴いていた。音楽は決して人から奪うことはできない」というのは、映画「ショーシャンクの空に」の名言だ。音楽を聴くための機械がなくても、目の前で誰かが演奏していなくても、心身に染みついた音楽は人々の生きる希望になりえる。翳(かげ)の作品を聴いていると、そんなことを思い出すのだ。

作詞・作曲からサイトや動画の制作まで、すべてセルフプロデュースでこなせてしまう彼女。思わず首を傾げてしまう名前は、ユーミンの「翳りゆく部屋」から取ったらしい。
自然と体が揺れてしまうサウンドも翳の魅力のひとつだが、彼女の最大の特徴はドリームポップやシューゲイザーと相性抜群の歌声だ。いわゆる“上手い人”の歌ではないし、どちらかというと舌足らずだろう。しかし、どうしようもなく魅力的なのである。憂鬱でたおやかで愛しげ。人ならば誰しも持っている影の部分を感じさせる歌声に、手に負えないほどの人間っぽさや愛しさを感じるのだ。

先日配信が開始された『kodomodamashi』は、aym名義で2012年にリリースされたもの。湿っぽくダークなドリームポップは、ポジティブになれない自分を肯定してくれるように感じる。心のアルバムに潜ませ、そっと思い出したい1枚だ。