ササハタ0.5が諦めない、儚く美しい世界

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はササハタ0.5をご紹介します。

不可侵の繊細さ

透明な水、人の手が入っていない自然、真っ白なキャンパス。ササハタ0.5は、そういうバンドだと思う。汚れに触れたら最期、インクを垂らした水面のようにジュワっと影響が広がっていく。それだけ儚く繊細で、美しい。

彼らのサウンドの根幹は、ギターロックとエレクトロニカの融合だ。ギターをかき鳴らしながらでなければ出せない激情に、華やかなキーボードが舞い踊る。
それでいながら歌詞は、センチメンタルなものが多い。報われない想いを抱きしめているようなリリックは、ポップなサウンドとチグハグで、より切なさを加速させる。

汚れのない世界が現実的でないことは知っている。それでも、世界を信じ続ける繊細な力強さが、彼らの美しさの正体なのではないだろうか。

先日配信が開始された『PRIVATE STOCK』は、ササハタ0.5の過去曲をまとめたベスト盤のような作品。「A」と「B」の2枚構成となっており、曲順にもこだわって構成されている。連作の映画を観るようなつもりで、彼らが紡ぐ世界に溺れてほしい。