対立を溶かす、aiverのエレクトロサウンド

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はaiverをご紹介します。

2つの世界を結んでいく

爆音に呑みこまれたり音に包みこまれたりすることは数あれど、音像のなかに放りこまれることは、稀なのではないだろうか。アートコレクティブ、aiverが鳴らす音楽は、まさしくそういう感覚をリスナーに与える極めて稀有な存在だ。

2017年末に結成し、2018年3月頃には活動を開始。始動時はライブ活動に熱をいれていたが、同年の夏頃には楽曲制作に注力する方向へ活動を転換した。
aiverが面白いのは、様々な対立を違和感なく結びつけてしまう点である。機械と人間、アヴァンとポップ、デジタルとアナログ、ブライトとダーク、アカデミズムと非アカデミズム。水と油のように混ざりあわないとされているものを、技術や知識、はたまた感覚でもって、見事に乳化させていく。Sci-Fiかつ退廃的なサウンドでありながら、キャッチーな音楽にも聴こえるのは、音の後処理も含めてデザインが行き届いているからなのだろう。新たな世界を切り開く、電子音響ポップスに胸を高鳴らせざるをえない。

先日配信が開始された「012」は、ヴァーチャルな建築空間・映像・音楽を相互に関係させた作品『6 rooms』からの1曲。コラージュ的な手法で多種多様なサウンドを盛り込み、実験的なエレクトロミュージックとして昇華したナンバーだ。