旧こいけが紡ぐ、共感性の高いリリック
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は旧こいけをご紹介します。
日々の気づきを言葉に
「何者かになりたい」と願う人が多い時代、普通や平凡、何の変哲もないといった言葉は、どこか毛嫌いされているように思う。しかし“普通がわかる”というのは、共感性を生む才能のひとつだと思うのだ。神戸出身のシンガーソングライター、旧こいけもそんな人物のひとりである。
彼女は以前、「私が過激なものとか奇抜なものとか野蛮なものが好きなのは、私がとても普通で退屈な毎日を送る高校生だから」と嘆いていた。そして「すごいつまらない」とぼやいていたが、旧こいけの歌詞は“普通”だから生まれた魅力に溢れている。
「すっぴんでも絶品と言われたい」という願いであったり、同じ月を眺めていても違うものが見えているという気づきだったり。平々凡々な毎日を送っている彼女だからこそ見える世界があり、共感がある。時には大きなことを言って誰かの背中を力強く押すことも求められるかもしれないが、日々を生き抜くうえで必要なのは誰もが共感してしまう気づきなのではないだろうか。
先日配信が開始された『赤い箱』は、2018年にリリースされた作品。自然体な旧こいけの温度感を弾き語りで感じられる作品だ。