花譜と羽生まゐごが漂わせる存在の香り

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は花譜 & 羽生まゐごをご紹介します。

コラボレーションだから表現できる揺らぎ

YouTube発のクリエイティブレーベル・KAMITSUBAKI STUDIOに所属するバーチャルシンガー、花譜。
デビュー3周年を記念してスタートした企画「組曲」では、リアルのアーティスト/コンポーザーとのコラボレーションを行っており、これまでにGLIM SPANKYや佐倉綾音などとの楽曲を発表している。
第五弾として、ボーカロイドプロデューサーの羽生まゐごを迎えた『わたしの線香』がリリースされた。

和楽器アレンジによるトラックと、哀愁や妖しさを孕んだ日本的な情緒溢れる歌詞により、唯一無二の存在感を放つクリエイター・羽生まゐご。
『わたしの線香』も和楽器をメインとした幽玄な楽曲になっており、花譜はそれに呼応して、言葉のひとつひとつを柔らかに吐き出すように歌う。
儚くも確かな香りが漂うその歌声は、和室に立ち上る線香の煙のごとくトラックと溶け合っていき、懐かしくそしてどこか妖しい空気に惹かれてしまう。

この楽曲の中では、「わたし」の死を感じさせる描写が随所で出現する。
普段はボーカロイドを使用した曲をメインに制作する羽生が、花譜という“生”の声を持つバーチャルシンガーを迎え、生と死の間の揺らぎを音楽にすること。
リアルとバーチャルの狭間を生きるクリエイター同士のタッグだからこそ射抜ける、繊細かつ大胆な存在証明がここにある。