百姓一揆が思い出させるライブハウスの匂い

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は百姓一揆をご紹介します。

生の音と場所の空気をそのまま

思えば、この数年で「ライブ」というものは大きく開かれたのではないだろうか。
コロナ禍以前より続くフェスカルチャーの隆盛や、苦境の中で身近になった配信ライブなど、語り切れないほどの波を越えながらも、今、ライブと音楽はかつてより人と近づいたように思える瞬間がある。

だからこそ、忘れたくないこともある。
初めて入るライブハウスの扉を開けるときの不安と高揚、畏怖さえ感じながら轟音に圧倒されるときのざわめき。
「楽しい」「明るい」といったポジティブなエネルギーだけではなく、未知のモノやコトや人、そして音を生で感じて、消化しきれないほどの感情に打ちのめされる時間と場所のこと。
百姓一揆『IKKI3』を聞くと、その全てを肌で思い出す。

静岡県三島市のオルタナティヴロックバンド、百姓一揆による三作目となる『IKKI3』。
今作は、三島のゴリラハウスというライブハウスにて一発録りで収録されたものだ。
音とうねりがぶつかり合い、爆発を起こし、それがまた新たな爆発を呼ぶようなサウンド、ノイズ、雪崩込むように展開していく楽曲。
この数年間で雑多に上書きされた「音楽」「ライブハウス」という概念の下にある本質、それを思い出させてくれるのはきっとこんなバンドだろう。