自らの物語を紡ぐキミノオルフェ

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はキミノオルフェをご紹介します。

共鳴し合う物語を

吟遊詩人という存在は、詩歌を通して時代を、伝承を、物語を、人の生き方を伝える者として歴史を渡り歩いてきた。
「蟲ふるう夜に」のボーカリストとして活動していた「蟻」によるソロプロジェクト・キミノオルフェは、キミの物語を紡ぐ“オルフェ”=吟遊詩人として、この時代を進む。

人生そのものも、ひとつの時代であり物語だと言える。キミノオルフェが向き合ってきたのは、人生に起こる物語を詩、楽曲、イラスト、そして映像で表現するということだ。
そんなキミノオルフェが、2枚目のフルアルバムとなる『雲間の光』で描き出すと決めたのは、蟻自身が生きてきた人生についてだった。『紙飛行機は手の中にあった』をはじめ、自身の幼少期や内面を独白のように紡ぐ楽曲たちが並ぶ。

どこにも行けない閉塞感と、それでも目指したい光と、そのために踏み出した一歩のこと。
多様な音楽的な要素を纏いながら、ただひとつ「蟻自身」という軸が貫かれ、歌われていく一人のための物語は、それを受け止める私たちの物語と重なり合う瞬間をも持つ。
誰かのための吟遊詩人が、自分自身として生まれ直す過程を目撃するような、計り知れないエネルギーに満ちた作品だ。