Khiが共有するノスタルジー
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はKhiをご紹介します。
普遍的で美しい懐かしさを
ノスタルジーとは不思議なものだ。何かを懐かしく思うこと、それは、必ずしも自らの経験と結びつくとは限らない。はじめて見る風景を愛おしく思えたり、他者から聞いた話に自分が重なったり、どうしてか、私たちの間には共通する感情が存在するらしい。
Khi(読み方:き)は、音楽という表現を通して、その感覚の共有を試みる。
ソロアーティスト・Khiの始動作となるデジタルシングル『さいくる』。柔らかさとぬくもりを持つバンドサウンドの中に、ひとさじのユニークさが散りばめられたこの楽曲。それはまるで夕暮れ時の空気のように、まろやかにリスナーの心の中へと染み渡っていく。
そうして、音、という抽象的なかたちをもって訴える郷愁を縁取るのは、Khiによる詩だ。実直な言葉選びの中に、日本語の美しさを感じさせてくれる歌詞が丁寧に紡がれている。
それぞれの中にある、故郷の景色。実在する場所や本当の思い出ではなかったとしても、懐かしく綺麗だと思えるものが呼び起こされていくのだ。
ゆるやかにノスタルジーを香らせながら、《すでに世界は美しい》と力強くも歌うこの楽曲。
普遍的ゆえに尊い大切なものを思い出させてくれる、愛おしい作品だ。