おストロースが音で滲ませるセルフケア

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はおストロースをご紹介します。

現実的な浮遊感を漂う

世界中の情報、仕事や生活の上でのタスク、自分を取り巻く人間関係、その他たくさんのこと……現代社会を生きる私たちは、常に何かと繋がり、時には追われながら生きている。一時的だとしても、そのすべてから開放されることは難しい。
日常と地続きの、それでいて静かに切り離されるような世界を、おストロースは音楽にする。

どこか地下深くまで潜り込んでいくように唸る低音から幕を開け、透明感溢れる歌声と浮遊感に満ちたさまざまな音がふわりと浮かび、意識だけ遠くまで連れ出してくれるような楽曲の世界。目を瞑って耳に全神経を集中させれば、あなただけのかたちで心がゆるりと揺れるだろう。
訥々と耳馴染みよく紡がれていく言葉の端々に滲むのは、「ここから離れてしまいたい」という儚くも痛烈な願いと、それが叶わないことを当然として受け入れる諦観だ。
すべて投げ出してみたい、終わらせてみたい、それでもやはり日々を生きなければいけない。その狭間をしっかりと認めることが、息苦しさを軽くするセルフケアの意味を持っていく。

暮らしの中で、静かな息継ぎのように鳴るおストロースの音が、それを必要とする人々届くよう願っている。