荒巻勇仁がすべての大人へ届ける歌
PICK UPアーティスト
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は荒巻勇仁をご紹介します。
切実で鋭利な言葉を
2001年生まれ、福井県出身のシンガーソングライター ・荒巻勇仁。昨年11月にリリースされたシングル『天才になれなかったので』がTikTokを中心に長く大きな反響を呼んだことも記憶に新しい彼から、最新シングル『未成人』が届いた。
ゆるやかなミドルテンポを軽やかに乗りこなす、メロウな歌声が心地よく心に染みていくこの楽曲。爽やかに耳に残るメロディも快い1曲だが、詩には荒牧らしい鋭さと遣る瀬無さが浮かぶ。
20代前半ならではの、気がつけば大人とされる年齢になっている現実と自らが置かれたリアルとのギャップを軽やかに、しかし鋭利に紡ぐリリックは同世代の共感を強く集めるだろう。それだけではなく、たとえば《冷めていく熱も/忘れてしまう夢も/無駄じゃないと思いたい》といった、歳を重ねれば重ねるほどに意味を持つような言葉も散りばめられており、不甲斐なさを感じながらも真摯に暮らしを続ける多くの人へ刺さる1曲にもなっている。
ルーツを踏襲した楽曲と甘い歌声、そしてなにより日々を見つめる切実さこそが彼の魅力であると再確認できる作品だ。ままならない日々をそれでも肯定する、柔らかな覚悟を分けてくれる歌がここにある。