ステロイドが音に宿す、本からのインスピレーション

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はステロイドをご紹介します。

独特な感性を鳴らして

押し入れの中で作曲しているミュージシャン、ステロイド。自身の楽曲を作詞作曲制作しているだけにとどまらず、他のアーティストのカバーも積極的に行っている。

先日配信が開始された「はじめに」は、鬱屈としたサウンドの中でラップのような節回しのボーカルが淡々と語りかけてくる1曲。ステロイドが父から譲り受けた新見隆の著書『青春20世紀美術講座』で得たインスピレーションを、各章ごとに曲へ落としこんでいく企画の封切りとなる作品だ。

地鳴りのように響き続ける歌声に重なる歌詞は独特なワードチョイスで綴られ、まるで古文を読んでいるよう。常に低い温度を保ちながらも、クライマックスに向かってしっかりと抑揚は描かれていく。参考音献としてスナック・ラブリー「鬱憤」とbetcover!!「幽霊」が挙げられているので、聴き比べてみるのも面白いだろう。