終活クラブが『終活のてびき』で魅せる、好きの追求

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は終活クラブをご紹介します。

最後の音楽をやりきる

少年あああああを中心に「最高の仲間と最高の音楽をやり切ろう」というコンセプトで始まった日本語ロックバンド、終活クラブ。オンライン上で顔出しをしていなかったり、ポップなキャラクターをアイコンにしていたりするのは、“芸術みたいなものは基本的に架空であるべき”といった考えがあるからだという。

彼らをキャッチーにしているのは、何もバンド名やアートワークといった側だけにとどまらない。歯切れのいいリフに、気づいたら耳に残っているメロディー、胸を突き刺すパンチラインなど、音楽にもビビットな要素が注ぎこまれている。先日配信が開始された『終活のてびき』も、もれなくキャッチーを貫いた1枚だ。

オープニングの「創作逆モラトリアム」を筆頭に、連なっていく全12曲。昨今では、どちらかというと珍しい部類に入るであろう、ツーステップを踏みたくなるロックナンバーは、2010年代の邦ロックシーンを彷彿とさせる。かと思えば、ボカロカルチャーを感じさせる早口なリリックがあったり、ピアノを基調としたサウンドがあったり、今の流行もしっかりと踏襲している。2000年代J-ROCKを愛する彼らが、現代のシーンも感じながら、自分たちの好きなバンドミュージックを追求した作品といっていいだろう。