憂鬱を燃料に走る、志摩陽立の叫び

PICK UPアーティスト

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は志摩陽立をご紹介します。

昂って走って、進め

志摩陽立は、北海道・札幌出身のシンガーソングライター。90〜00年代の香りを宿すポップスに、ジャズやソウル、AORの要素を織り交ぜたサウンドが持ち味で、演奏からミックス、マスタリングまでほぼ一人で完結させるマルチプレイヤーでもある。2023年のデビュー後は12ヶ月連続リリースを敢行し、初の全国流通アルバム『Sezon』や全国ツアーを経て、着実に評価を高めてきた。

新作『メンタルヘルス・体温』は、全6曲を自身で手がけた一枚。表題曲「メンタルヘルス・体温」は、《昨日より今日の方が目立って見える憂鬱は/僕のメンタルヘルス・体温を/操ってはどっかへ飛んでいく》と、掴みどころのない心の揺らぎを疾走感あるポップに落とし込む。

《ただの水をポーションと偽って売り捌く》と、情報や信念の危うさを鋭く突く視点も印象的。言葉数の多いリリックが軽やかなグルーヴの上を滑走し、知的な批評性とキャッチーさを両立させている。《昂って走って進め!》と鳴らすその推進力は、鬱屈を抱えた日々をふっと前へ押し出してくれる。