【コラム】Spotifyプレイリストのフォロワーを増やす方法 -コンセプトと更新と外部流入の確保がキモ-

コラム

Gerbera Music Agencyの金野です。アーティストのSNS広告/ピッチングを支援する会社を運営しています。今回はコラム企画の3本目として、Spotifyプレイリストのフォロワーを増やすための考え方/施策を紹介します。

▼過去のコラムはこちら
1.【コラム】YouTubeの活用方法を理解する -アルゴリズムの構造を掴む-

2.【コラム】Spotify for Artistsの活用方法を深く理解する -プレイリストに入るためには?-

1. Spotifyのプレイリストはフォロワーを増やすのがかなり難しい

まず、Spotifyでプレイリストを増やすのは極めて難しいという認識を持つことが必要です。

弊社は2018年夏ごろから、Spotifyプレイリストメディア『Pluto』を運営してきました。これまで100以上のプレイリストを作成し、現在ではプレイリスト合計フォロワー数が90,000人を超える規模にまで成長しましたが、ここまで来るまで相当苦戦しました。以下、苦戦してきた理由を書いていきます。

(キャプション:Plutoのプレイリスト合計フォロワー数の推移)

まず知っていただきたいのが、Spotifyの『プレイリスト』にはアルゴリズムによるおすすめが発生しません。『楽曲』はSpotifyのアルゴリズムに引っかかると多くのリスナーにおすすめされてリスナー数/再生数が伸びることがありますが、プレイリストはこの恩恵を受けられません。

そのため、基本的にプレイリストのフォロワーを増やす手段は「1. Spotify内での検索流入を獲得する」、「2. Spotifyの外部から流入を獲得する」以外にはありません。また、「1. Spotify内での検索流入を獲得する」については当たれば大量の流入を獲得できますし、実際に検索経由で数千人以上のフォロワーを抱えているプレイリストもありますが、狙って流入を獲得することが困難です。理由は、GoogleやYouTubeの場合はキーワードごとの月間検索数を把握することが可能ですが、私が知る限りSpotifyでは把握できず、月間検索数の多いキーワードをタイトル/説明文に使用したプレイリストを作成しにくいからです。これまで私たちPlutoが作成してきたプレイリストの中でも検索経由でフォロワーが1,000人を超えたプレイリストが一部ありますが、これは狙ってやったものではなく、数多くプレイリストを作成してきたなかで得られた幸運のひとつくらいに思っています。ゆえに、プレイリストを増やすためには「2. Spotifyの外部から流入を獲得する」と向き合う必要があります。

また、外部流入を獲得するための具体的な方法を把握する前に、前提として、「Spotifyのプレイリストのフォロワーを増やす」のは手段であって目的にしてはいけないということを補足します。「Spotifyのプレイリストのフォロワーを増やしたい」と思う方は、実際のところ「自分が作成したプレイリストを多くの人に継続的に聴き続けてもらいたい」と思っているはずです。レコード会社などで自社のプレイリストを制作している方も、当然自社アーティストのリスナー数/再生数増を目的にしている場合が多いと思います。そうした目的を達成するにあたっては、プレイリストのフォロワー数を闇雲に伸ばすのではなく、安定的にリスナー数を確保できるプレイリストをつくる意識が必要です。
※プレイリストのリスナー数はそのプレイリストにリストインしているアーティストのSpotify for Artists/Other listener’s playlistsを見れば確認可能です。詳細はこちら

フォロワー数とリスナー数の関係についてもう少し補足します。Spotifyプレイリストの規模を外部から把握できる数字は2021年1月現在においてはフォロワー数しかありませんので、自ずとフォロワー数を追ってしまいがちなのですが、フォロワー数の増加は必ずしもリスナー数の増加に繋がりません。「フォロワー数が数万人いるプレイリストに自分の楽曲がリストインしたのに、そのプレイリストから全然リスナーが流れてこない」といったケースがあるのは、フォロワー数とリスナー数が必ずしも相関しないからです。

そのため、プレイリストのフォロワーを伸ばすと同時に、そのプレイリストを聴き続けてもらうためにはどうすればよいのか?を考える必要があります。

以下、リスナー数を維持しやすくフォロワーを獲得しやすいプレイリストの特徴について書きます。

2. リスナー数を維持しやすい/フォロワーを獲得しやすいプレイリストの特徴

結論から書くと、弊社の経験上、以下3点を満たしているプレイリストはリスナー数が維持しやすく、フォロワーも増やしやすいです。

1. 更新することを前提にしているプレイリスト
2. できるだけ新しい楽曲を紹介するプレイリスト
3. 文脈プレイリストないしハイブリッドプレイリストに属するプレイリスト

それぞれ解説していきます。
まず「1. 更新することを前提にしているプレイリスト」はリスナーの飽きを回避できるためリスナー数を維持しやすいです。仮にリスナーが特定のプレイリストを気に入ったとしても、何度か視聴しているうちに必ず飽きます。つまり放っておくとリスナー数は下落し続けます。これを回避するにあたっては定期/不定期で更新を継続していくことが必要です。Plutoではある時期までプレイリストをつくりっぱなしにしたり、そもそも更新が難しいコンセプトのプレイリストを作成したりしていた時期がありましたが、現在は新規作成ではなく既存プレイリストの更新に重きをおいています。プレイリストを新規作成する際も、継続的に更新できるコンセプトを立てて作成しています。

また、プレイリストのフォロワーを増やす手段がほぼ外部流入に限られるため、Spotifyの外でプレイリストの宣伝を行う必要があります。代わり映えしないプレイリストを何度も宣伝するわけにも行きませんので、基本的には更新と宣伝をセットで行う必要があります。つまりプレイリストのフォロワーを増やすという観点でも更新は重要です。

余談ですが、弊社が海外リスナーを相手にプレイリストの宣伝活動を行っている際、「このプレイリストはどのくらいの頻度で更新されますか?」と質問されることがあります。これは、更新するかどうかでそのプレイリストをフォローするかどうかを判断しているリスナーが一定数存在することを示唆しています。

次に「2. できるだけ新しい楽曲を紹介するプレイリスト」ですが、これは主にフォロワーの獲得に寄与します。私の肌感ですが、リスナーがプレイリストを通じて未知の楽曲に触れ、かつその楽曲を気に入った場合、そのプレイリストをフォローする確率が高まります。もちろん既知のお気に入り楽曲が入っていることによってリスナーがプレイリストを試聴する可能性が上昇するケースもあるので一概には言えませんが、多くのリスナーが未知の楽曲との出会いをプレイリストに求めていることは間違いないのではないかと思います。

最後に「3. 文脈プレイリストないしハイブリッドプレイリストに属するプレイリスト」についてですが、前提として、プレイリストには属性軸で3種類が存在することをまず解説したいと思います。

<属性軸で分類した3種類のプレイリスト>
・コンテンツベースプレイリスト
・文脈ベースプレイリスト
・コンテンツと文脈のハイブリッドプレイリスト

■コンテンツベースプレイリスト

主に「ジャンル」や「言語」「国」「人物」などを軸に制作されたプレイリストです。例えばPlutoで作成しているプレイリストの場合、「JAPANESE NEWEST FOLK」、「Japanese Female Vocal Collection」、「The Best of Under the Radar Indie」などが該当します。なお、世界に存在する全てのプレイリストのうち、実に56.8%をこのコンテンツベースプレイリストが占めているようです。

■文脈ベースプレイリスト

特定の「活動」(ランニング、ドライブ、睡眠など)、「イベント」(クリスマス、卒業式、夏休みなど)、「シチュエーション」、「ムード」などを軸に制作されたプレイリストです。Plutoで作成しているプレイリストの場合、「Tokyo Romantic Drive」、「Love and Hate」などが該当します。

■コンテンツと文脈のハイブリッドプレイリスト

コンテンツベースプレイリストと文脈ベースプレイリストの両方の特徴を持ったプレイリストのことを指します。主に「特定のジャンル」×「特定の文脈」で作成されたプレイリストのことで、Plutoで作成しているプレイリストの場合、「Tokyo Night Walking(chill mode)」、「集中エレクトロニカ【作業用BGM】」などが該当します。

コンセプトさえ明確であればどのタイプのプレイリストでもフォロワーの獲得/リスナーの維持は可能ですが、特にリスナー数を安定して維持できるのが文脈ベースプレイリストとハイブリッドプレイリストです。これも私の肌感ですが、コンテンツベースプレイリストは繰り返しの視聴がされにくいのに対し、文脈ベース/ハイブリッドプレイリストはリスナーの気分や活動に応じて、BGMとして連続的に試聴される傾向が強いため繰り返し試聴されやすいではないかと推測しています。

これらを踏まえ、弊社ではフォロワーが増やしやすくリスナーを維持しやすいプレイリストを以下のように分類しています。「横軸」が選曲した楽曲の鮮度、「縦軸」が前述の3分類です。

特に「文脈ベース×新しい楽曲」「ハイブリッド×新しい楽曲」のプレイリストはフォロワー増加/リスナー維持の観点から見てとてもパフォーマンスが高いですが、作成の難易度も高い傾向があります。

ぜひ参考にしてみてください。

3. プレイリストのフォロワーの増やし方

それでは、Spotifyの外部から流入を獲得する手段について書きます。弊社では主に以下3つの手段を用いてプレイリストのフォロワーを増やしています。

1. Twitter/Instagramへの公開/更新投稿
2. Facebookグループ/Redditなどインタレストグラフベースのコミュニティへの投稿
3. SNS広告

それぞれ解説していきます。

「1. Twitter/Instagramへの公開/更新投稿」は絶対に押さえるべき基礎です。新規でプレイリストを公開する際も、更新する際も必ず告知します。また、プレイリストに入れたアーティストの目につくよう、エゴサーチに引っ掛かるようにアーティスト名を入れたり、タグ付けしたり、メンションを入れたりしましょう。投稿をリツイート/シェアしてくれるかもしれませんし、プレイリストを気に入ってもらえればフォローしてくれる可能性があります。まずはこの地道な取り組みが必須です。

「2. Facebookグループ/Redditなどインタレストグラフベースのコミュニティ(特定の興味・関心をベースにコミュニケーションが行われる場所)への投稿」も弊社の貴重な流入元になっています。FacebookではLo-fi Beatsを共有し合うグループや日本の音楽に関する情報をやり取りしているグループがあります。これらコミュニティに参加して、グループのルールを遵守しつつ、空気を読みつつ、嫌われない範囲で自分のプレイリストを共有します。Plutoでも過去にテラスハウスで使用された楽曲を集めたプレイリストをFacebookのテラスハウスファンダムに共有したりなどしてきました(ありがたいことに非常に喜ばれました)。

RedditもFacebookグループ同様、特定のテーマに基づいたコミュニケーションを行うsubredditが無数にありますので、自分のプレイリストと相性の良いsubredditを発見して投稿しましょう。その際、subredditごとに遵守すべきコミュニティルールがありますので必ず読んだうえで投稿してください。「プレイリストの投稿禁止」とハッキリ記載しているsubredditもありますので、注意が必要です。Redditはスパムが大嫌いです。ルール違反を繰り返すといきなり永久投稿禁止ペナルティを課されることもあります。私自身、出禁になってしまったsubredditがいくつかあり、未だに後悔しています。

なお、subredditと言っても規模感はバラバラです。r/spotifyのような巨大コミュニティもありますし、メンバー数1000人に満たないものもあります。大きなコミュニティほどルールが厳しい場合が多いため、まずは小規模なsubredditで感覚を掴むのが良いでしょう。

最後に「3. SNS広告」ですが、具体的にはYouTube広告、Facebook広告、Twitter広告、Instagram広告、TikTok広告、Reddit広告などが挙げられます。少額でも試せるものが多いため、いくつか試してみると良いかもしれません。弊社は本業がインターネット広告代理事業なため、プレイリストのフォロワーを増やす広告についてはだいぶ研究しました。そのなかであまり効果を感じなかったのはTwitter広告で、特に効果を実感できたのはReddit広告とInstagram広告でした。Reddit広告については動画を用意しなくても良いので他広告と比べて気軽に配信できますし、どのsubredditに広告を表示させたいのかを決めることもできますので、自分のプレイリストと相性が良い人たちに広告を見てもらえる可能性が高いです。Instagram広告は特に動画クリエイティブを使用した広告が効果的なため、動画素材を制作しなければならないというハードルが存在しますが、動画とターゲティングがカチッとハマった時の効果は非常に大きいです。


<金野和磨 プロフィール>

日本大学卒業後、音楽配信サービス会社、デジタルマーケティング会社などを経て、音楽プロモーション事業を行うGerbera Music Agency合同会社(ガーベラミュージックエージェンシー)を設立。レコード会社や音楽事務所などのアーティストプロモーションをサポートしています。YouTubeやInstagramをはじめとしたインターネット広告全般、プレイリストへのピッチングなどが強み。Spotifyプレイリストメディア「Pluto」も運営しています。日本から世界に通用するアーティストをたくさん輩出することを目標に活動しています。

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