alcott
インタビュー
4ヶ月連続”LOVE LETTERS”でalcottが目指した、歌が中心の曲作り
多彩なポップ・センスが人気を集める神戸のロック・バンド、alcott。彼らが今年3月から続けてきたプロジェクト”LOVE LETTERS”が6月22日に配信した「小火」で完結。恋愛をテーマに作った楽曲と、それをもとに制作した小説、ドラマを、4ヶ月連続で同時配信するプロジェクトに取り組んだきっかけや、そこに込めた想い、さらには音楽的な挑戦について、全曲のソングライティングを手掛ける貴田宰司にインタビューした。プロジェクトを締めくくる「小火」は、バンドの新たな音像を印象づけるミドル・テンポのバラードとなっている。
-今回の「小火」は4ヶ月にわたる”LOVE LETTERS”というプロジェクトの第4弾となるわけですが、そのプロジェクトはどんな想いからスタートしたのでしょうか?
僕たちが作っている楽曲を、どういうふうにしたらお客さんのもとに届けられるかということをいろいろ考えていったとき、小説だったり、映像だったりを、僕らの楽曲から作ってもらって、曲と併せて3つ同時に配信していったら、いろいろなところから見てもらえるんじゃないかということで始めました。僕の書いている楽曲は歌詞というよりは、誰かに対する手紙のようなものだと自分では思っているんです。そこに愛情みたいなものは絶対あると思うので、プロジェクト名は”LOVE LETTERS”にしました。
-4曲それぞれに違う魅力を持っていますが、4曲に共通するテーマはありましたか?
今回の4曲は何よりも歌を中心に作ったんですよ。歌が立つフレーズ、歌の世界観を邪魔しないアレンジを意識しました。4曲の流れに起承転結があると思います。「告白記」(2018年3月公開)、「春へ」(2018年4月公開)、「予報外れのラブソング」(2018年5月公開)と来て、最後に「小火」。物語はバラバラなんですけど、全部繋がっている。それは小説、映像ももちろんなんですけど、今回のプロジェクトにかかわっているチーム全員が意識していたと思います。第3話でハッピーエンドで終わっても良かったんですけど、そこで終わらないところがミソですね。幸せなまま終わらない(笑)。第4話が「小火」じゃなきゃダメってわけではなかったんですけど、今すべてが出揃ってから考えると、「小火」しかなかったなって。
-幸せなまま終わらなかったのも、結果的にそうなってしまったということですか?
一番リアルだったんですよ。自分自身と重なるところが多かった。どうしても忘れられない恋っていうのがあると思うんです。忘れなきゃいけないという気持ちもある。でも、簡単に忘れられたら苦労しない(笑)。それに、恋愛してきた経験って、自分を形成しているものだから、それを忘れようとすることは、自分を否定することだとも思うんですよ。だったら”そんな恋愛も含めて一緒に生きていこう。独り言だけどね”みたいな(笑)。
-そういう恋を象徴するものが「小火」なんですね。
自分の中でくすぶっている気持ちにふとした瞬間に火がついて燃える。でも、どうしようもないから自分の中で消し止める。小さい火のまま消し止められたものを”小火”と言うんですけど、タイトルはこれしかないと思いました。いいイメージがないうえに”ボヤ”と読めないから、反対されたんですけど、あるラジオのパーソナリティの方が、「小火」を紹介するとき、”それでは聴いてください。alcottで、小さな火と書いて、ボヤです”と言ってくれたんですけど、それがすごく良くて。「小火」にして良かったと思いました。
-小さな火で消し止められているうちは甘酸っぱい想いに浸っていられると思うんですけど、消し止められないと大変なことになりますね。
そうそう。でも、「小火」の主人公は消し止めています。”ただの独り言だけど”って。
-ところで実際、”BIG UP!”を使ってみていかがですか?
今の時代にドンピシャだと思います。何より手軽に、手早く、その場のリアルで、速達として届けられるところがいいですね。CDだったらお店に行かなきゃいけないじゃないですか。”今聴けるよ”、”CDショップに行かなくても音源あるよ”って言える。何よりも聴いてもらわないことには始まらないですからね。音楽を聴くことに関してはサブスクでも不自由がないから、どんどん使ってほしい。
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