betcover!!

インタビュー

クロスオーバーが当たり前の時代に、ロック・シーンは
言いたいことを言っちゃいけない空気があるって変

betcover!!ことヤナセジロウは、国内の若手バンド・シーンに憤りを感じている。ガラパゴス化したフェスが主な活動の場となり、初見のお客さんに向けた即効性が求められることでテンプレート化していった表現が主流にあるメジャーを”クソ”だと言い放ち、その流れには乗らず、自由な音楽性を探求するインディペンデントな世界に対しても”安い”、”弱い”と警鐘を鳴らす。ただそれは、彼が心から音楽の持つパワーを信じ、音楽そのものをリスペクトしているからこその言葉である。それが正しかろうが間違っていようが、いいことも悪いこともはっきりと、言いたいことを言い、議論することの大切さについて、改めて考えさせられる時間となった。

-音のレイヤーや曲の展開が独特ですが――

感覚です。というか、作品のことをあまり語っちゃうと、変なふうに捉えられるのが嫌なんで。。

-なるほど。こういったメディアのインタビュー記事って読みます?

最近は面白い記事が少ないから読まなくなりました。古い”rockin’on”とかは好きなんですけど。あのころのタナソウ(田中宗一郎)さんや山崎(洋一郎)さんのインタビューや記事って、書く人が文章に対して挑戦してるし、インタビューとかだとアーティストにもパンチを打ちまくってて、言いたいことを言い合ってぶつかることもあるじゃないですか。賛否両論巻き起こって然るべき覚悟がある。その感じが好きなんですよね。

-いろいろ不満があると。

メジャーのバンド・シーンは一部を除いて、はっきり言ってクソだと思います。

-国内アーティストだけのガラパゴス化したフェスが最たるプロモーションの場となり、曲やパフォーマンスがテンプレート化してしまった。そういうものも要素としてはあっていいのかもしれませんけど、シーンがあまりにもそっちに偏りすぎてますよね。

わかりやすいノリ、わかりやすい展開を重視して曲を作って、わかりやすいライヴをする。フェスでウケるバンドがいいみたいな。でもそれって、そもそも”わかりやすい”ですかね? ああいうのって、もはや音楽のわかりやすさではなく、みんな同じようにキャラクター化していってるだけだと思うんです。

-そういう流れに対してのカウンターとなるようなバンドもたくさんいると思うんですけど、どうですか?

弱いし安いと思います。今のインディーズ・シーンに、そこに対抗できるほどの気迫は感じられないですね。そこで僕が考えてるのは、インディーズ界隈だけでも救うこと。ぬるいインディーズ・シーンを潰すというか、仲間を増やしたいんです。

-海外や国内も含め、ヒップホップの動きはどう思います?

それを見ちゃうとバンドはダサいなって。ヒップホップは言いたいことを言うとか、カテゴリーにとらわれないとか、精神的な部分がはっきりしてるから、ちゃんとカルチャーを生み出せてる。クロスオーバーが当たり前である今の時代に”これがロックだ”って掲げるのもセンスのないことなのかもしれないですけど、あえてそれくらい強く言ってもいいと思うんです。

-クロスオーバーなんて、今やそれだけじゃなんの評価軸にもならない。もっと自由なロックを提唱することは大切かと。

そう思います。僕の音楽だってそう。2010年代のシティ・ポップ文脈で語られるのはわかるんです。けど、内包しているものまで見ろよって思います。僕にそれだけの魅力がないなら仕方ないけど。こういう状況って、それぞれが、それぞれの立ち位置から爆発しないと変わらない。みんなが言いたいことを言い合って議論できる環境を作ることが大切だと思います。

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