paionia

インタビュー

いい音楽を作ること以外に執着がない

だからこそ聴いてもらうことが一番なんです

2018年、結成10周年にして初のフル・アルバム『白書』をリリースしたpaionia。高橋勇成が偽らざる真意を綴るシンプルなギター・ロックに滲む普遍性には若手のファンも多く、リーガルリリーとの対バンやSentimental boysらとのイベント出演なども。また盟友、佐藤千亜妃(きのこ帝国)やおとぎ話との共演なども記憶に新しい。今回は12月に配信リリースした『きれいすぎた / bed』を軸に、高橋と菅野岳大に現状を訊いた。

-正式なドラマーが不在だったり、困難な時期もあったりしたと思うんですが、それでもバンドを続けてこれた原動力はなんだったんでしょう。

高橋:でも”そんなに腐ったこともあったっけ?”っていう。ドラムが見つからなすぎてちょっと心折れそうになりましたけど、バンド自体をやめる/やめないみたいなことは全然浮かばなかったので。バンドが動けない時期には、ひとりで弾き語りやったりしてましたし、単純にやりたかったんでしょうね。

菅野:謙介さんはpaioniaの曲のファンっていうのが先にあって、すごくありがたかったんですけど、そういう経緯で叩いてくれてるんで、一緒に作っていこうぜっていうよりは、ちょっと引いたところでうちらの演奏を見てて、どうしたら観てる人に届くのかとか、意識してライヴしてると思うので。『白書』(2018年6月リリースの1stフル・アルバム)を出したあとのライヴは謙介さんとほとんどやってるんで、そういう意味ではライヴやってて楽しいですね。”FUJI ROCK FESTIVAL’18″もそうだし。

-そして12月にはダブルAサイド的な『きれいすぎた / bed』を配信でリリースして。勢いを感じます。『白書』でひとつまとまったものができたから、繋がってきてるんですかね?

高橋:『白書』の「跡形」という曲からちょっとずつ書くことが変わってきたりはしましたね。今回の「きれいすぎた」はすごく昔の曲なんですけど(笑)。これがもうど初期、2009年ぐらい。「bed」は最近の曲なんですけど、ちょっと『白書』の流れからは違うイメージで、というので今回この2曲を出したんです。

-高橋さんがものを作る根本っていうか、そういうものを提示したんでしょうか?

高橋:はい。変わってないことももちろんあるんですけど、(「きれいすぎた」の歌詞を書いてるのは)昔の自分じゃないですか? 具体的な話になっちゃいますけど、”無駄なものを失くしちゃった”みたいな歌詞を見て、無駄なものがないと嘆くことすらなくなってしまったなとか、”きれいすぎた”って言えてた方がまだ良かったんだなとか、胸が痛くなるというか、”何やってんのかなぁ、今の俺は”みたいに思ってしまうんですよ。だから、自分の言葉にハッとさせられるというか、忘れてたものを思い出すというか。そういう意味で、『白書』が終わって、おとぎ話との企画とか昔やってた企画を復活させて、また新たなスタートとして(『きれいすぎた / bed』が)ぴったりかなっていうのがあったんですよね。

-「bed」と2曲にしようと思ったのは?

高橋:音楽的な意味で「bed」みたいな曲は俺らにはあんまりないんですよ。『白書』の流れからまた印象を変えてって意味でも「bed」はいいなと思ったし、「きれいすぎた」が昔の俺なんで、やっぱり今の俺も必要だなと思って。

-今回”BIG UP!”を用いて配信リリースした理由については?

高橋:いい音楽を作るっていうこと以外、本当に執着がないんで、聴いてもらいたいっていうのは作り手としては一番なんですよ。だから今回も『白書』を出してから、前のアルバム(2013年リリースの『rutsubo』)とかと比べると売れてる枚数は少ないんですけど、前よりもすごく広がってる感じがするんですよね。ちゃんとひとりひとりに濃く深く届いてる感じがするというか。そして『白書』のおかげで、今までとはまた違った、深く繋がれそうな人たちが周りに現れ始めて、そういう人たちから助言を貰うようになりました。信頼してる人たちの言葉っていうのは信じる方なんで。CDが売れなくて、配信した方が広く聴かれるんであれば、それでいいんじゃない? っていうぐらいの感じなんです。す。

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